りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,148

 

「世界のガーデン、日本のガーデン 編」・・・「露段式」というガーデン様式?

イギリスとフランスのガーデンについて検証してきました。この項からは、その他ヨーロッパのガーデンについてスポットをあてます。まず、ヨーロッパの庭園様式ですが、「イギリス式庭園」=「風影式庭園」、「フランス式庭園」=「平面幾何学式庭園」、以外の様式は存在しないのでしょうか? いや、もう1つ忘れてはならない物があります。「イタリア式庭園」です。この項では同庭園について考えます。

「イタリア式庭園」「テラス式庭園」「露段式庭園」とも呼ばれています。この庭園様式には2つの大きな特色があります。1つは、「幾何学式庭園」であるということ。2つ目は「傾斜・段差を有効活用」しているということ。広大な平野が少ないイタリアの特性を活かした様式ともいえます。

もう少し「イタリア式庭園」の様式について説明すると、①:ジャルディーノ・セグレト(隠れ庭)と呼ばれ閉鎖空間的構成となっている場合が多い ②:ベルネデーレ(美しき眺め)つまり、大きな段差を活用した眺望を大切にする ③:軸線、ボスコ(人工的配列の樹林)、ノット(人工的配列の花壇)、立体迷路、などの幾何学式識庭園技法が多数使われている ④:グロッド(人工洞窟)、噴水、彫刻、などの芸術・人工加工物が多く使われる・・・と言ったことが上げられます。

上記を参考に、もう少し分かりやすく「イタリア式庭園」の特性を述べると、丘の上に宮殿等の建築物を配し、軸線を中心にした幾何学構成のガーデンとする。さらに、地形の段差を活用し閉鎖空間(テラス等)からの眺望を活かし、同時に人工的な加工物を多く配置し目を楽しませる。と言ったことになるでしょう。

この「イタリア式庭園」が最も多く造られたのは14世紀~16世紀。つまり、「フランス式庭園」流行の少し前と言うことになります。この主力作庭年代も、ヨーロッパの庭園を語る上で極めて重要です。ギリシャやローマ文化の影響を受け、庭造りも本格化していった。そして、当時の先進国イタリアにおいて「テラス式」「露段式」と言う庭園様式が確立された。それが、フランスに輸入された。しかしフランス人はより巨大で広がりのあるガーデンを求めた。結果「平面幾何学式庭園」が生まれた。同形式の庭園はイギリスでも造られた。だがここでも国民性の違いか、より自然に近い庭園様式が生まれ「風景式庭園」となった。そして、これらの影響を受けながら、住宅を含めより身近な庭が多数造られるようになり、現代ヨーロッパのガーデン文化が出来上がった。と言うことです。

このシリーズでは、ガーデニング大国イギリスを最初に取り上げました。従って、庭園様式と言う面では、歴史を遡ることになりました。しかし、体系的に捕らえるならば、「イタリア式庭園」「フランス式庭園」「風景式庭園」、そして「現代のヨーロッパガーデン事情」と言う順に追うべきです。ただ、いずれにしても、歴史を追うことでヨーロッパの人々のガーデン好きは、筋金入りであることが分かります。最も、かつての日本人も同様であったのですが・・・

そこで本日のひと口アドバイス。

「イタリアの丘を人工のパラダイスに変貌させる! それがイタリア式庭園!」

(りょう)

 

 

 

 

 

「イタリア式庭園」:エステ家別荘の庭園(世界遺産)

 

 

 

 

 

「イタリア式庭園」:須磨離宮

 

 

 

 

 

 

「イタリア式庭園」を現代風に(淡路夢舞台)