りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,650

 

「世界のガーデン、日本のガーデン 編」・・・音の中に静寂を求めた「日本庭園」?

「日本庭園」の重要な構成要素について検証しています。そして、この項では水と音について考えて見ます。

欧米、西アジアの庭園と「日本庭園」の発想の違いに、水とそれに関する音への考え方が有ります。前者の場合は、殆ど無視されてきましたが、後者はそれに注目したと言うことです。

では、「日本庭園」と水と音の関係とはどのようなものでしょうか? 1つは、池に水を引き込む水路と、その流れから生じるせせらぎの音です。これは、極めて自然に近い音と言うことができます。もう1つは、さらに人工的に水を引き込み、意識的に音を発生させると言う手法です。ただ、いずれも「音を発することで、さらなる静寂を創りだす」という逆転の発想がそこにあります。特に「露地」と言う特殊空間においては、このような発想・手法が珍重されたと言うべきでしょう。

人工的に水を利用し音を楽しむための具体的手法は、「手水鉢(ちょうずばち、手を洗うための水場)」とその周辺がメインのスペースとなります。最もオーソドックスな物が、「筧(かけい)」「ししおどし」の組み合わせでしょう。ただ、最近の「日本庭園」では、実用性よりも観賞用の装置となっているケースの方が多くなっています。

「筧」とは竹の節をとった水を引き込むための装置です。後述の「ししおどし」を付けずに、「手水蜂」に直接水を引き込むことの方が多いのですが、その場合も流れ落ちる音を重視しているものも少なくありません。「ししおどし」とは、元々は農業用で音で威して農地に動物を近づけないための物。だから「獅子脅し」「鹿脅し」などとも呼ばれます。竹筒に「筧」からの水が溜まると、「手水鉢」に流れ、反動で元に戻るとき音を発すると言う装置ですが、庭園用品としても普及しおり、ご存知の方も多いでしょう。

より音を楽しむための手の込んだ装置が「水琴窟(すいきんくつ)」です。これは、地下の空洞に水が滴り落ちるようにし、乾いた高温を発するようにした装置です。古くから「日本庭園」に使われていた手法と言われていますが、一時期絶滅状態にあった。それを復活させたのが小川冶兵衛の甥の岩城亘太郎である。と言った説もありますが、確証の程は?

ただ、本格的な「水琴窟」を造ることは決して容易ではありません。従って、陶器の甕を使う方法、地面に埋め込まずに、同系の甕を置くだけで音を発するようにした簡易的商品も開発されており、住宅の庭などでは、これらを使い音を楽しむのも1つの方法でしょう。

ただ、前記したように「日本庭園」の音とは、それを発することでより静かで、心を落ち着かせる環境を創りだすという、逆転の発想がベースとなっています。小鳥や川のせせらぎのバックミュージックを使うのとよく似た感覚・手法ともいえます。

そこで本日のひと口アドバイス。

「音による演出と、音による静寂の創造と言う逆転発想を使った日本庭園!」

(りょう)

 

 

 

 

 

「ししおどし」

 

 

 

 

 

 

 

 

「筧」と「手水鉢」

 

 

 

 

 

 

「水琴窟」(円光寺)

 

 

 

 

 

 

 

 

「水琴窟」の構造