りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,940

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭記詳述:「滝作りの順序②③」の記述!

この項では、前項の続きとなる「滝をたてる順序②」と、同じ滝に関連する「滝の落ちる様々を言うこと①」を取り上げます。

「作庭記14:滝をたてる順序②」・・・滝を作る順序②

高さの高い滝を作ることは、都のような都市では難しいであろう。ただし、内裏(朝廷などが政務を行うところ)など、スケールの大きな建物では例外もある。そして、世の伝えるところでは、一条の大路と東寺の塔の先端の高さとはほぼ同じだとのこと。そうなると、上(北)の方から水路を作り、左右に堤を設け、滝の上部に来るように設計すれば、落差120~150㎝の滝を作ることは可能であろう。

また、滝の水が落ちる部分の幅は、高低差とは直接関係ないではないか。自然の滝を見ても、高い滝は幅が必ず広いとは限らない。低い滝だからと言って、幅が狭いとも限らない。要するに、水が落ちる部分の石(この場合の石とは、周辺の構造等も含まれる)の広い・狭いによって決まるのだ。ただし、落差120~150㎝の滝となると、幅が60㎝を超えるのはあまりよくない。幅が広すぎると高さが低く見えてしまうからである。そうなると、単なる人工の堰に見えてしまう。また、滝の高さに対して、幅が広すぎると、滝の咽喉(内部の様子)が透けて見えてしまい、迫力もなくなる。

そもそも、滝と言うものは、思いがけないような岩の間から水が流れ落ちるように見えることで、自然観が増して奥ゆかしくなるのである。だから水を流しかけて、咽喉が見えるところには、水が落ちる部分の石の上に、さらに別の石を設置する必要がある。そうすることで、遠くからは岩の中から水が噴き出すように見えるのである。

「作庭記14:滝の落ちる様子を言うこと」・・・滝を作る順序③

向落、片落、伝落、離落、稜落、布落、糸落、重落、左右落、横落(滝の水の落ち方にはこのようなものがある)。

向落は、正面に向かって整った形で均等に水を落とすべきである。

片落は、左側に沿って落とす場合は、水を受けるべき頭となる前石で、高さ・広さも、水落の石の半分のサイズ程度のものを、左に寄せて設置すると、その石に水がぶつかり、流れが白く見え、左側に方向を変えて流れ落ちる。

伝落は、石の壁に従って伝い落ちる。

離落は、水が落ちる部分全面に角のある石を設置し、上の水が停滞しないように速い流れでぶつかるようにすれば、水が離れたように落ちるのだ。

稜落は、滝の表面を少し斜めにして、上座側の稜(先端部分)からより格好良く見えるようにする。

布落は、水が落ちる部分の表面に滑らかな石を設置。これにより、滝の上部の流れを淀ませ(ゆるやかにして)、布や晒しをかけたような流れにする。

糸落は、水が落ちる部分の頭に、角の出っ張った石を多数設置し、流れが多数の方向に分かれ、糸をかけたように水が流れ落ちるようにする。

重落は、水の落ちる部分を二重にして、特別な技巧を用いないで、滝の高さに従って、二重・三重にも水を流れ落とす。

知識ある人の言い伝えによると、滝はたよりを求めて、月に向かうべきだと。それは、落ちる水に月影を宿らせる(月の光を写す。月の光を受け趣きある姿にする・・・と言った意味か)。

(「作庭記」の本文には、左右落、横落、の記述がない。上述の中のアレンジパターンということか?)

以上が「作庭記」の滝を作る順番②、③に関する記述です。滝に関する記述は、12~15(15項は事項で紹介)にわたり、庭作りの極めて重要な項目であることが分かります。

そこで本日の一口アドバイス。

「日本庭園の滝は自然観を重視。だからこそ技能+天然の滝の研究が必要!」

(りょう)

 

 

 

 

 

五老ヶ滝(熊本県):「向落 」タイプ?

 

 

 

 

 

 

寂光の滝(日光):糸落タイプ?