りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,961

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・平等院とその浄土式庭園②!

引き続き「平等院」と同「浄土式庭園」について検証します。前項では、創建当初の「平等院」について言及しました。続いて、現在の平等院について・・・

現在の「平等院」は天台宗系統の最勝院と浄土宗系統の浄土院と言う2つのお寺(共に「鳳凰堂」の西側にある)が共同で管理しています。この形態をとったのは1681年と言う事ですが、創建時は天台系、翌年には浄土の象徴「鳳凰堂」と「浄土式庭園」が造られてと言ういきさつを考えると、妥当な結果とも言えるでしょう。

また、1990年から発掘調査も行われるようになり、様々な新事実も明らかになってきています。その一方で、調査の成果がCGでも再現されるようになり、創建当初の金色に輝く絢爛豪華な姿を偲ぶことも出来ます。2001年には平等院ミュージアム鳳翔館もオープンし、様々な資料を見ることが出来ます。多くの寺院がそうであるように、「平等院」もまた想像以上に煌びやかなものであったと推定されます。特に「浄土」を再現した「鳳凰堂」と「浄土式庭園」は圧倒的な輝きを持っていたことでしょう。

そこには、藤原氏の権勢を誇ると言う目的もあったのかもしれません。ただ、人間(少なくとも平安貴族の)が描く極楽(ここでは「浄土」)とは質素なものではなく、絢爛豪華でなくてはならなかった。ここに一つの本質が現れているような気もします。

「平等院」のメイン建築物である「鳳凰堂」は、「浄土式庭園」内の阿宇(大日経に示された瞑想法。一種の宇宙感)池の中島東側に位置し、阿弥陀如来像が安置された中堂、左右の翼廊、中堂の後ろにある尾廊の4部から形成されています。従って、全体の姿が鳳凰の翼を広げたような形状になり「鳳凰堂」の名前もそこからつけられました。

より重要なことは、改修が施されているものの、戦禍に耐え「鳳凰堂」は平安の姿を保っていると言う事。従って、建物、本尊の阿弥陀如来は勿論、国宝あるいは国宝級の建築物、仏像、絵画、装飾品が多数現存していると言う事です。

主なものを列記しておくと、「鳳凰堂」本体、本尊阿弥陀如来像(仏師・定朝唯一の確証ある現存作品)、屋根上の鳳凰一対(現在屋根に設置されている鳳凰は複製)、本尊が乗っている螺鈿の須弥段・装飾金具、建物内の極採色の絵画、天上・柱の極彩色文様、長押(なげし、柱と柱を水平につなぐ木材)の上に安置された、楽器を奏で舞を舞う供養菩薩(52体が現存)、本尊頭上の天蓋(透かし彫り)、など。いずれも、色褪せ、剥落が進み派手さはないが、創建当初は輝くばかりの世界であったことは言うまでもありません。

「平等院」の現在の姿を見て、CGで当時の姿を浮かび上がらせ、そして「浄土式庭園」とはいかなるものであったか、ぜひ体現してみてください。

そこで本日の一口アドバイス。

「CGで再現された極採色の世界・・・そこに平安貴族の極楽浄土が!」

(りょう)

 

 

 

 

 

 

 

鳳凰堂内の装飾

 

 

 

 

 

 

 

鳳凰堂内の扉画

 

 

 

 

 

 

 

屋根上の鳳凰(国宝・ただし写真は複製)