りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,070

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・「南禅寺」とその名園とは②?

引き続き「南禅寺」について述べます。ただし、この項では同寺の外構・ガーデンにテーマを絞ります。

「南禅寺」を外構と言う視点でとらえると、「勅使門(中門)」「三門」と言う2つの重要文化財がメインとなります。まず、外周を囲む塀の部分に「勅使門」があります。同門は1641年に再建され、明正天皇より御所内の「日の御門」を拝領・移築したものと伝えられています。古い時代には、勅使を迎える時だけに開かれたため「勅使門」(「南禅寺」以外の「勅使門」も同様)と言う名がついていますが、現在は昔の習慣に従い、定期的に開かれます。なお、通常の寺領への出入りは、「勅使門」に隣接する「中門」で行います。

続いて参道中央に「三門」があります。同門を仏教的に捉えると、修行で悟りに至るために通過すべき3つの過程を現します。門はその象徴であることは言うまでもありません。その一方で「山門」とも表記され「南禅寺」の「三門」は登竜門(仏道への最初の入り口)=寺内聖域への入り口と言うことに成ります。従って「天下竜門」と言う別名も持っています。現在の「三門」は1625年に藤堂高虎が大坂夏の陣で命を落とした人たちの菩提を弔うために再建したもの。上層に五鳳楼と呼ぶ楼を持つ、巨大かつ日本三大門に指定される門。重要文化財にも指定されています。

一方、「南禅寺」の主要庭園は方丈周辺に集中しています。メインとなるのは「方丈庭園」「小方丈庭園」「六道庭」の3ヶ所。その中でも「方丈庭園」が最大で「小堀遠州」作と言われています。江戸時代初期の様式を明確に伝える代表的「枯山水庭園」でもあり、南〜西にかけて5本の定規線を配した薄青色の築地塀で囲まれる東西に長い長方形庭園。

石組は塀に添う形で配され、須弥山、蓬莱山などの宗教的世界観が組み込まれています。ある意味非常に形式的な構成で、「遠州」イズム?がそこに反映されていると言えるかもしれません。また、横に並べられた石の配列を俗に「虎の子渡し」とも呼びます。その前には白砂だけの大空間が広がり、「方丈庭園」自体が1つの宇宙(世界)感を構成していることは言うまでもありません。

「小方丈庭園」は別名を「如心庭」とも。昭和41年に当時の柴山全慶官庁の「心を表現せよ」と言う志向のもとに、彼の直接指導の下に作庭されました。極めて哲学的思考の強い庭園ですが、江戸時代とは無縁です。

「六道庭(りくどうてい)」は、その名が示すように「如心庭」との絡みが極めて強い庭です。言うまでもなく「如心庭」が悟りの光景であれば、「六道庭」は現実の苦悩を現した庭であるからです。天上・人間・修羅・畜生・地獄と言う六道を表現しているのでしょうが、凡夫である筆者にはこじつけのようにも見えます。「如心庭」と対である以上「六道庭」も昭和の作品と考えてよいでしょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「江戸前期を代表する方丈庭園。だが、あまりにも形式的で?部分も・・・」

(りょう)

 

 

 

 

勅使門

 

 

 

 

三門

 

 

 

 

 

方丈庭園全景

 

 

 

 

 

方丈庭園・虎の子渡し

 

 

 

小方丈庭園・ 如心庭

 

 

 

 

 

六道庭