りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,128

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山山水庭造伝・前篇上」④!

「山水築山庭造伝・前篇上」・・・北村援琴・秋里離島共著 1735年の作

11:山を作る時のセオリー

作庭で、山を作り石組を施す時は臨機応変(真行草)に対応せよと古くから伝えられている。その昔、相阿弥と言う作庭家(室町時代の画家・作庭家。紹介済み)がいたが、彼の作った図面や資料を見て庭作りの方法を会得する事。現在木版印刷され世間に発表したこの書物では、相阿弥の書に書かれた部分は省略した。しかしながら、必ずしも(相阿弥)の図の通り庭を作れば良いという事ではない。自分なりにアレンジすべきだ。岩も石も無い方がより素晴らしい庭となることもある。

庭を作る時は、古くから伝えられる方式を重視すべきだ。例えば、小さな庭に極端に大きな石を設置しても似合わない。大きな庭に小さな石を設置しても似合わない。また、小さな庭に本格的な作庭を行っても、かえって醜くくなる場合がある。技量の優れた作庭家は、狭い庭であっても極めてレベルの高い作品とすることが出来る。その最大のポイントは状況に応じた対応(行草)を心掛け、難題を克服する事だ。峰を作る時、その高さをどうするかについても、既に述べたような状況判断が重要である。

12:相手により、山や水路の作り方を変える

山水(庭)には多くの種類がある。公家・武士・地主・豪商の家に作庭する場合は、吉となる部分を重視する。だから、守護となる物、蓬莱を表す物、二神等を組み込むと喜ばれる。お寺・神社に庭を作る場合は、宗派・系統に関す事に注意を払うのは当然。だから、この本では過去の事例を参考にして、僧侶の家、一般人の家では作庭ポイントが大きく異なることを確認しておく。庭を見る人が好むように作ることが大切である。

13:景勝地を見て写生しておく

景勝地の景観を取り入れることは、最大の作庭ポイントとなる。だから、景勝地を訪れその景観を写し取る場合は、同地の正面から中心部の景色を見て、峰の部分の形を確認する。次に、中腹の景色を見てそこに何があるかを確認する。さらに、目につく石、木などを写生し書き込む。頂きの下に谷があり渓流がある場合も描き入れておく事。

同気色の左側に山の峰や谷滝などがある場合は、その形を上・中・下と見渡し写生に加える。同気色の右側も同じで、山の峰、その下、左右、真ん中の景観をよく見て、木や石も写生に加える。さらに、山から大きく下った部分の左・真ん中・右の部分の写生も忘れてはならない。この部分も左から見渡し描き写す。右から見渡して描き写す。このように、景色を詳細にチェックして、突き出ている部分の高い低い、曲線・直線の具合、その間にある木や石の状況をしっかりと写し取る。

池の形や大河、湖などを写生する場合も、以上と同様。手前の正面より景色を三段(高さ別)に見渡し、また左から見渡し、右から見渡し、その間の模様を描き写し記憶しておく事。

畢竟(ヒッキョウ)山嶺滝谷(究極の山・嶺・滝・谷)に関しても、上から、真ん中から、下からの状況を写し取り、湖、海、川、沢、池なども、視線の及ぶ景観を両端、真ん中、さらには手前の岸、三段(多方面から)に見てす写生する。景勝地に出かけて写生する場合は、抜群の景観に目を奪われ、迷ってしまう事が無いように、何回もチェックし、全力で写し取る事。

上記のように考えれば、景勝地の景観を記憶して、それを築山(ここでは庭作りと解釈すべきであろう)に取り入れる事で、最高の情景を創り出し、景勝地にいる心境を再現してくれる。それがいかに重要であるかが分かる。ただし、景観を徹底的にチェックしなければ、それを元とし創意工夫を加えた最高の作品を作ることは出来ない。この点をよく心得る事。景勝地の景観を取り入れる事こそ、庭作りの秘術だ。この点については軽々しく語らない事。

そこで本日の一口アドバイス。

「最高の景観こそ最高の作庭ポイント・・・そこには絵心の大切さも!」

(りょう)

214:長楽時庭園

 

 

 

 

 

長楽寺庭園:相阿弥作と伝えられている

 

214:桂林

 

 

 

 

中国・桂林:最高の景観を切り取る