りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,129

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山山水庭造伝・前篇上」⑤!

「山水築山庭造伝・前篇上」・・・北村援琴・秋里離島共著 1735年の作

14:石の設置方法と植栽の方法

多くの、古くから伝わる資料、図面を見て、石を設置し植栽を施すことは非常に良い。畢竟(ヒッキョウ=究極)の岩・石を集めてその姿をよく観察し、直立した石、横長の石を、峰・滝・島などとして設置する工夫をするべきである。最初から庭の形態が定まっているわけではない。岩を見て、自然の趣ある景観が思い浮かべる、それこそが作庭の魅力であり、教えることが困難な別の面白さでもある。人の及ばぬ所で物が作られる魅力、自然の奥深さに学びこれを貴ぶことが大切である。無理やり技を発揮し作り込むことは良くない。

石の良い設置法とよくない設置法について述べる。最も重要なことは、自然の景観を忘れずに石を設置すると言う事。一般的に言って、山水(庭)のデザインと言うものは、柔和でかつ、薄暗く霞がかかったようで、深い山を連想させ、奥深く手が届かないところにある(幽深玄遠)ようなイメージが好まれる。逆に、新しく作られテクニックにおぼれたようなものは、作為的として嫌われる。

植栽もまた同様である。メインスペースに近い場所には、枝ぶりに趣のある木を植える。山・峯・島・瀑布などの石もまた同様だ。前述した景観をイメージしてそれを取り込み、植栽・石組を行うべきである。植栽用の樹木は枝葉を良く茂らせたものが良い。ただその茂りの中にも適度な空間(漉)があることが大切である。

古人は鳥や獣の住むような所(栖震亭=セイシンテイ?)、苔むして冷え冷えとし霞がかかったような山間(苔日冷烟山腰)、闇がまといつくような所の水の流れや並んだ石(纏暗水石骨列)、そのようなものを好んだ。適度な風が吹き、松の葉がさわやかな音を立てている。雨が降る前でも苔が既に湿っているような状態。このようなものは、神様や仙人の気を含んでおり、山水(庭)の眼前に広がる風景はそのように作るべきだ。その意味を理解しなさい。

15:石組の持つ陰陽に関する事柄

高く直立した石は陽である事を知っておきなさい。だから、滝口は水をコントロールするところであるから陰(水自体が陰)であり、そこに直立した石を設置してはいけない。これが陰陽のセオリーである。

横に寝そべったような石は陰であり、その意味をよく理化することが重要である。そして石に限らず、ほぼすべての物には陰陽があり、植物に関しても、直立したものは陽であり、横に這うようなものは陰であると覚えておきなさい。

この他、立石でもなく、横石でもないものもある。その中間の石だ。この中間の石は陰と陽を中和(陰陽和合)させてくれる石であることも知っておきなさい。また、川の両岸の石は、どのようなものであっても主となる石には含まれない。

16:滝に関する事。

滝は竜門(竜の住む場所)や廬山(中国の名山)の瀑布などをイメージし作ることがよくある。その場合、寺院などの滝口は無熱地(竜の住む場所=竜門)をイメージして作る事。インド(天竺)の北には、雪で覆われた山があり、その頂上に無熱地がある。そして、無熱地から水が流れ4つの大海に達する。東は銀牛口からスタートして伽河(ガンジス河)となり東海に達する。南は金象口からスタートして信度河(インダス河)となり南海に達する。西は獅子口からスタートして縛蒭河(ヴァクシュ河)となり西海に達する。北は瑠璃亭口からスタートして徒多河(ヤルカンド河)となり北海に達する。

中国や日本は南州に属するので、滝口は金象口をイメージして作ることに成る(ユーラシア大陸の地形から言うと、東海になるのでは?)。従って、寺院の山水(庭)の滝口はおおよそ東南(ここにも矛盾がある。地理的には西または西南となる)の方向に設置する。しかしながら、現実には滝口は座敷の上方に設置することが多い。従って、西北に作る場合もある(この記述は作庭記を基にしていると想定される。紹介済み)。そもそも、滝口は座敷の上方に作るものだ。だから、南側となるケースもあるが、その場合は北側に香染山(意味不明)を作る事。それが無理なら、南側に木を植えなさい。

補足事項:16項は、古代インド及び仏教の、スメール山(須弥山)を頂きとした世界観が元になっている(紹介済み)。ただし、記述に同世界観との矛盾もある。また、廬山との関連を示す記述が無いのは何故?

そこで本日の一口アドバイス。

「滝に関する記述には疑問も・・・なぜ古代の世界観にこだわるのか???」

(りょう)

215:カイラス山

 

 

 

 

 

 

 

チベッの聖山・カイラス山=古代インドのスメール山に対象されることも・・・