りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,146

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山庭造伝・後篇上」①!

この項からは、「築山庭造伝・後編」を取り上げます。「築山庭造伝・前篇」と同じタイトルであるため、続編と思われるかも知れませんが、前篇(原著:北村援琴・おそらく作庭家。詳細不明)を整理し(おそらく文章自体も修正し)、江戸時代中・後期に京都で活躍した作家・俳人である秋里離島が発表した作品であるのに対して、後編は秋里離島が庭園関連事項を一書に纏めたもので、根本的な相違があります。

両著の制作年代については、前篇1755年、後編1828年となっています。ただし、編集者兼作者である秋里離島は1800〜1830年頃活躍した人物と伝えられており、前篇の年代は北村援琴が同著を纏めた時、後編は秋里離島晩年の作であると推定されます。

なお、後編も大阪市立大学・中谷ゼミをベース資料としており、同資料には下記のような紹介文が示されています。参考にしてください。

この作庭書は、『築山庭造伝・前編』と内容・本文構成はほぼ同じである。しかし『築山庭造伝・前編』と比較すると『築山庭造伝・後編』では秋里離島が各地の名園を訪れて模写した図をふまえ『築山庭造伝』をより実践的な内容として書かれている。また『築山庭造伝・前編』よりも一般の人が理解しやすいように多くの図を載せている。 また、中谷ゼミに興味をお持ちの方は、下記URLにて閲覧できます。

中谷ゼミ http://www.arch.eng.osaka-cu.ac.jp/~design/nakatani/kozin/niwa/welcome.html#Anchor-49575

 

「築山庭造伝・後篇上」・・・秋里離島著 1828年の作

注意事項:「築山庭造伝・後編」に関しては、他の作庭書以上に図面・イラストが多用されていると推定されるが、残念ながら中谷ゼミ資料に同添付はない。

1:「築山庭造伝・後篇上」に関する序文

この書物を著すにあたり思う。一家が住む敷地に、大小に差はあるが、庭を作るのが当然のこととなっている。その目的は3つある。1つ目は、そこに住む人と一緒に関係のある霊もそこにいるため。2つ目は、住む場所が心安らかで堅固であるため。3つ目は、家族~子孫まで安泰であるため。この3つが庭の使命でもある。つまり、その地が永久にどっしりと落ち着き(具足)円満であることを願い作のだ。 そして、永遠に安らかな地(鎮守)とは、住む人とその人に関係する神様に対し、清廉な場所でなくてはならない。そうでないと、どっしりと安定した場所にはならない。

庭には適切な場所に草花・樹木を植え、山や水を清らかに飾り、不浄なものがなくなれば、多くの神様や仏様そこの住むようになり、こうなることで多くの悪いものを排除することができ、自然と家が栄える。子孫が健やかでいられる。当然、このような場所であれば、長くしっかりとした安泰(応心堅固)が得られる。自らが正しいことを愛し、広い心を持っていれば、良い気風を育て、寿命も延び、子孫も健やかでいられる。これは理にかなった事だ。

庭には流れる水を引き入れ、清い井戸を設けて、その水の勢いを借りて万物を養っていくようにする。寿命を延ばし、子孫が安泰となる要因は、個人だけにあるのではない。いつまでも変わらない宝物を手に入れることは、人間が生きていくうえで最も大切な事である。このことを、教えるために、昔援琴翁(北村援琴)は「庭造伝」と言う書物を著した。

同書には細かく奥深いものが書かれている。しかし、単なる古い俗説にすぎないと思われ、多くの人々は真の意味を理解していない。だから、素晴らしい庭を作る事が出来ない。だから筆者(離島)が東海にある島々へ足を運び、西海の平波を漂い、北海の荒磯に膝頭が浸るまで足を踏み入れ、江湖(巨大な川や湖=揚子江とその周辺の湖沼を指すこともある)が作り出す多くの素晴らしい景色(八景)、那智の白瀑(那智の滝=和歌山県・那智勝浦町)や松橋(マツバセ)神社、有名な3名勝に数えられる芙蓉の高峯(富士山)、その他、日本中の高い山や深い谷を訪ね歩き、足を運ばなかった場所はない。結果、尋ね歩いた場所は六十二州におよび、最後にこの地(大阪)に辿り着いた。

そして、今は満足感で一杯だ。同時に旅の成果を一書に纏め、後の人々や(庭園)愛好家のために出版する。その書名を「庭造伝」として三巻構成とした。状況に最適な対応(真行草)と言う事を原点として、この書を綴った。時・文政11年(1828年)戊子・秋の末(干支の組み合わせで60中52番目=1年のかなり後半=秋の末)に大阪(浪速)の旅館にて離島軒前青柳堂秋里識(秋里離島の事)。

そこで本日の一口アドバイス。

「秋里離島万感の想いで庭造伝を表す・・・でもチョット大袈裟かも?」

(りょう)

233:那智の滝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

那智の滝(落差日本一)