りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,159

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山庭造伝・後篇中③!

「築山庭造伝・後篇中」・・・秋里離島著 1828年の作

注意事項:「築山庭造伝・後編」に関しては、他の作庭書以上に図面・イラストが多用されていると推定されるが、残念ながら中谷ゼミ資料に同添付はない。

4:草木を愛する事に関する兼好法師の言葉

*徒然草には以下のようなことが書かれてある。

家に植えたい木は、松と桜。五葉の松も良い。桜の花は一重が良い。「いにしえの奈良の都の八重桜」は、最近、世間に増え過ぎた。吉野山、平安京の桜は、みな一重である。八重桜は邪道で、うねうねとねじ曲がった花を咲かせる。わざわざ庭に植えることもないだろう。遅咲きの桜も、咲き間違えたようで白ける。毛虫まみれで花を咲かせるのも気味が悪い。梅は白とピンクが良い。一重の花が足早に咲き、追って八重咲きの花がルージュを引くように咲くのは嬉しい。遅咲きの梅は、桜のシーズンに重なり、適当にあしらわれ、桜に圧倒されて、情けなく悲惨である。「一重の梅が、最初に咲いて、最初に散っていくのは、見ていて潔く気持ちがよい」と、藤原定家が軒先に植えていた。今でも定家の家の南に二本生えている。それから、柳の木もオツなものだ。初春の楓の若葉は、どんな花や紅葉にも負けないほど煌めいている。橘や桂といった木は年代物で大きいのが良い。

草は、ヤマブキ・フジ・カキツバタ・ナデシコ。池に浮かぶのは、ハチス。秋の草なら、オギ・ススキ・キキョウ・ハギ・オミナエシ・フジバカマ・シオン・ワレモコウ・カルカヤ・リンドウ・シラギク、そして黄色いキク。ツタ・クズ・アサガオ。どれも、伸びきらず、塀に絡まらない方が良い。これ以外の植物で、天然記念物や、外来種風の名前の物や、見たこともない花は、まるで愛でる気にもならない。

どんな物でも、珍品で、入手困難な物は、頭の悪い人がコレクションして喜ぶ物である。そんな物は、無いほうが良い。

補足事項:上記は徒然草の一部。長文であるため、この部分のみ、訳に関しては下記URLから引用。

http://www.tsurezuregusa.com/index.php?title=%E5%BE%92%E7%84%B6%E8%8D%89%E3%80%80%E7%AC%AC%E7%99%BE%E4%B8%89%E5%8D%81%E4%B9%9D%E6%AE%B5

(以下は、「徒然草」原文)

家にありたき木は、松・桜。松は、五葉もよし。花は、一重なる、よし。八重桜は、奈良の都にのみありけるを、この比ぞ、世に多く成り侍るなる。吉野の花、左近の桜、皆、一重にてこそあれ。八重桜は異様のものなり。いとこちたく、ねぢけたり。植ゑずともありなん。遅桜、またすさまじ。虫の附きたるもむつかし。梅は、白き・薄紅梅。一重なるが疾く咲きたるも、重なりたる紅梅の匂ひめでたきも、皆をかし。遅き梅は、桜に咲き合ひて、覚え劣り、気圧されて、枝に萎みつきたる、心うし。「一重なるが、まづ咲きて、散りたるは、心疾く、をかし」とて、京極入道中納言(藤原定家のこと)は、なほ、一重梅をなん、軒近く植ゑられたりける。京極の屋の南向きに、今も二本侍るめり。柳、またをかし。卯月ばかりの若楓、すべて、万の花・紅葉にもまさりてめでたきものなり。橘・桂、いづれも、木はもの古り、大きなる、よし。

草は、山吹・藤・杜若・撫子。池には、蓮。秋の草は、荻・薄・桔梗・萩・女郎花・藤袴・紫苑・吾木香・刈萱・竜胆・菊。黄菊も。蔦・葛・朝顔。いづれも、いと高からず、さゝやかなる、墻に繁からぬ、よし。この外の、世に稀なるもの、唐めきたる名の聞きにくゝ、花も見馴れぬなど、いとなつかしからず。

大方、何も珍らしく、ありがたき物は、よからぬ人のもて興ずる物なり。さやうのもの、なくてありなん。

補足事項:中谷ゼミ引用の原文が不正確であるため、同URLの原文をあえて提示しておく。

*兼好法師(吉田兼好)は庭を楽しんでいるように思えるが、人の好き嫌いは様々だ。だから、無理に書かれていることと同じにする必要はない。草木を大切にして、石や水の心を知っていれば、その大切な部分を活かしてアレンジすれば良い。

そこで本日の一口アドバイス。

「この部分は徒然草の引用・・・だから、専門家の非常に分かりやすい訳文を使用!」

(りょう)

245:五葉松

 

 

 

 

 

庭木として植えられた「五葉松」