みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,235

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・「慧洲園」と言うホテル併設の庭園?

「中根金作」の作品。最後に紹介するのは再び国内に戻り、佐賀県のホテル内に造られた「慧洲園」。当然、現在も多くの人が訪れ観賞している日本庭園ですが、意外に資料が少なく、限られた写真を元に、作庭者の意図を類推するしかありません。

「慧洲園」があるのは、佐賀県武雄市武雄町にある「武雄センチュリーホテル」内。約10,000㎡の広さがあり、全体は池泉回遊式庭園。ただし、大きな池を中心とした池泉式部分と白砂と石組を中心とした枯山水式部分に分かれ、この2つがアンジレーションに富んだ広い空間で結ばれています。また、隣接する武雄山が借景となり、その景観をより引き立てています。

「慧洲園」は1980(昭和55年)年の作とされ、「中根金作」後期の作品と言う事に成ります。また、ホテルに併設され多くの人が散策・観賞を楽しむことを目的としているため、優れた景観づくり+地形を活かした斬新なアイデア・・・そんなサービス精神を強く感じさせる作品でもあります。

従って池泉式部分では、大きな池は地形の段差を活かし、外国の巨大瀑布(例:ナイアガラ瀑布、等)のようなものを造り、豪快な情景を創り出しています。明治・大正期以前の日本庭園にはあまり見られない構成で、日本・中国の名勝から世界の名勝へと飛び出した、近現代特有の作品とも言えます。また、枯山水部分も段差のある地形を活かし、豪壮な枯滝部分から白砂部分へと連なるフォーカルポイントを見事に創り出しています。その他、紫陽花などの花を楽しむなど、四季の変化も巧みに取り入れている点も見逃せません。

昭和の庭園について検証中。その中で、「重森美玲」と「中根金作」の作品を取り上げてきましたが、わずかな時代の相違も影響しているのでしょうか? その個性の大きな相違に驚かされます。結果、「重森美玲」は特有の石組をベースに、芸術性・形而上世界の再現に重きを置いた作庭家。「中根金作」はその傑出した演出力を活かし、よりエンターテインメントに重きを置いた作庭家。筆者はそのような印象を強く感じました。さて、貴方は・・・

そこで本日の一口アドバイス。

「段差のある地形を活かした秀作=慧洲園。そこには世界的瀑布も・・・」

(みずき りょう)

321:武雄センチュリーホテル

 

 

 

 

武雄センチュリーホテル

 

321:ティファニー

 

 

 

 

カフェテラス「ティファニー」

 

321:パノラマ

 

 

 

慧洲園パノラマ

321:庭園全景

 

 

 

全景

 

321:遠景

 

 

 

 

鳥瞰写真