みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,268

 「エクステリア用天然木大研究」第19回・・・「防腐剤注入材」って何だ?

針葉樹でエクステリア用木材として良く使われるものを紹介中。この項では、「防腐剤注入材」を紹介します。その名が示す通り、人工的に防腐剤を注入し、腐りにくくした木材で、樹種は限定されません。ただし、安価で耐久性に問題がある木材を対象としなければ意味が無いので、輸入材では、パイン(マツ)、スプルース(トウヒ)、ファー(モミ)、国産材では、スギ、ヒノキ、または同間伐材が主力対象となります。

また、木材の防腐処理には、防腐剤の塗布と圧力注入の2種があります。しかし、表面に塗るだけでは効果が薄いので防腐剤を専用設備で圧力注入したものを使うのが一般的。従って「防腐剤注入材」と言う名前が付いています。

一方、木材用の防腐剤には多種多様なものがあります。ただし、産業用として使われるものの代表は、ACQ・CCA・クレオソート(A)の3種。その特性についても、簡単に説明しておきます。

*ACQ現在使われている圧力注入用防腐剤のほぼ全て。成分は銅(Cu)と第4アンモニウム塩(抗菌・消毒剤)。毒性は弱いが防腐効果もそれほど強くない。

*CCA:過去に使われた圧力注入用の防腐剤。防腐効果は高いが、現在では事実上使用禁止。成分はクロム(Cr)・銅(Cu)・ヒ素(As)。銅を除けば猛毒成分。アメリカで開発された当初は猛毒でも外部へ溶け出さないため殆ど無害とされた。しかし、その後外部流出が確認され事実上使用禁止に。それでも、過去の使用材が問題に。加えて、猛毒に重金属が含まれるため、焼却するとより毒物が濃縮されると言う難物で、現在も禍根を残している。

*クレオソート:石炭から抽出される安価な防腐剤。塗布使用が主流で、圧力注入用としては使われていない。過去、枕木・乱杭等に多用された。しかし、発がん性等の毒性が問題となり現在は事実上使用不可。ただし、枕木をエクステリア材として使う場合、現在もその毒性が問題となっている(無知な使用が後を絶たない)。

従って、「現在の防腐剤注入材≒ACQ注入材」と言う事に成ります。そして、同木材の特色としては、1:防腐効果が低く耐久性に問題が残る 2:毒性は弱いと言っても人やペットに触れる部分には使いたくない 3:淡いグリーン色(主に銅の色)ですぐ見分けがつく 4:価格は比較的安く安定供給も可能 5:材の性質は樹種の性質を受け継いでおり、一般的にはソリ・ヒネリ・ヒビワレ等のアバレが大きい・・・言った点を上げることが出来ます。逆に言うなら、4:安価で安泰供給可能、と言う項目以外にほとんどメリットが無いと言う事。従って、筆者の場合は、基本的にACQ注入材は使いません。

だだし、間伐材をACQ加工で有効活用できるとすれば、1つのメリットと言えるかも知れません。

そこで本日の一口アドバイス。

「防腐剤注入材とは何かをもっと正しく知ろう! そして、もっと正しく使おう!」

(みずき りょう)

19:デッキ

 

 

 

 

 

ACQ注入材で造られたデッキ

 

19:板材

 

 

 

 

 

ACQが注入された板材

 

19:角材

 

 

 

 

同角材

 

19:加圧防腐剤注入装置

 

 

 

 

 

 

 

防腐剤の加圧注入装置

 

19:注入前

 

 

注入前の木材

 

19:注入後

 

 

注入後の木材(緑がかった色に)

 

19:加圧注入断面

 

 

 

加圧注入材の断面(中まで防腐剤が)

 

19:塗布断面

 

 

 

 

塗布材(防腐剤は表面のみ)