「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,269
「エクステリア用天然木大研究」第20回・・・「サーモウッド」って何だ?
針葉樹系のエクステリア用木材を紹介中。この項では「サーモウッド」を取り上げます。
「サーモウッド」とは「防腐剤注入材」と同様、品質向上を目的とした加工木材の一種です。従って、木材は針葉樹全般に対応できますが、流通量・価格等の問題から事実上対象材は値段の安い針葉樹と言う事に成ります。具体的には輸入材のスプルース(トウヒ)・パイン(マツ)・ファー(モミ)、国産材のスギ・ヒノキ・そして両者の間伐材が原材料。
「サーモウッド」とはフィンランドで開発された木材加工技術(従って、この名前が一般日本での名称)の事で、日本語では高熱乾燥処理木材。製造方法は高温の水蒸気で180〜200℃にプラント内の温度を上げ人工乾燥し、含水率を15%程度にまで下げると言うもの。さすが、サウナの国フィンランド!(木材サウナ?)と言ったところでしょうか・・・
「サーモウッド」の特性としては、1:含水率が低いので耐久性に優れている(含水率20%以下では腐朽菌は活動できないとされている) 2:一度大きく含水率を下げると再度水分が吸収されにくくなり、長期効果がある 3:同処理によりソリ・ヒネリ・ヒビワレ等のアバレが非常に少なくなる 4:高熱乾燥するほど色が黒くなる 5:大量生産できればコストダウンできる 6:化学物質を含まないため、安全で木材同様の廃材処理が可能(「木樹脂」のような厄介な産業廃棄物にならない)・・・などを上げることが出来ます。
上記の特性を観る限り「サーモウッド」は大きな将来性を秘めたエクステリア用木材と言う事が出来ます。では、短所は無いのでしょうか。残念ながらそんなことはありません。1:生産量が少なく少なくとも現在は値段が高い(「ウリン」「レッドウッド」「サイプレス」等と同等か若干高い。ただし、ルートによりかなりバラツキがある) 2:日本への導入歴史が浅く、屋外使用で実際どの程度の耐久性があるのか疑問が残る・・・の2点がその主なもの。
また、「サーモウッド」の生産状況は大きく2種に分かれています。1つ目は、大手木材業者による製造・販売。こちらは、輸入材を加工した物が主流。2つ目は、公的な資金も加えた各地の林業組合・木材グループによる製造販売。国産材の振興が目的で、当然使用材は日本のスギ・ヒノキ・同間伐材。林業・国産木材活性化の1つの切り札として期待されているわけですが、現実には前者の方が有利な状況となっています。やはり「親方日の丸」と言った利権主義から抜け出せないと言う事でしょうか・・・
そこで本日の一口アドバイス。
「サウナ木材? フィンランド生まれのサーモウッド!さて、次世代の主役となれるか・・・」
(みずき りょう)
「サーモウッド」の目隠しフェンス、他
同デッキ&チェア
同玄関前の目隠し
同ガーデンファニチャー
国産材を使った「サーモウッド」製のデッキ
板材
色の変化(高温加工するほど色が黒くなる)
「サーモウッド」のプラントと製造工程