みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,085

「納得!エクステリア講座」第17回・・・モダン系デザインの歴史と特性?

第8章 外構の基本デザイン分類と各特性

外構(≒フロントガーデン)のプランポイント、クローズ・セミクローズ(セミオープン)・オープンと言う3スタイルについて言及しました。続いて、この項からはデザインについて考えます。勿論、デザインパターンは無限にありますが、代表的デザイン(第15回参照)をピックアップし、それぞれの特性について確認していきます。まずは<モダン系>から・・・

<モダン系のデザインの系譜>

モダン系デザインとは何を指すのでしょうか? ヨーロッパのデザイン史を見ると、バロック・ロココ、アールヌーボー、アールデコ、モダンと言った変遷を遂げます。デザイン歴史講座では無いので、それぞれの詳細については割愛しますが、非常に装飾性の強い物〜装飾性の少ない物への移行史でもあったことが分かります。つまり、欧米では中世の<デザイン≒装飾>と言った感覚〜1800年代後半から1900年第初期のやや装飾性を抑えた感覚〜1930年頃からのモダニズムと装飾の融合〜近代モダニズム・超モダン(ほぼゼロ装飾)と言った変遷があったと言う事。そのは背景には<デザインの大衆化>があったことは言うまでもありません。

日本でも同じような変遷を示しますが、元々ヨーロッパよりも装飾性が低かった、モダン系の本格登場は室町時代(北山文化の頃。書院造〜数寄屋造、等)と、ヨーロッパよりはるかに古かった、と言った特色を持ち、元々日本人は過剰装飾を好まなかった・・・と考えるべきかも知れません。

以上から、モダン系は、①:比較的新しい時代に登場したデザイン ②:装飾性が少ない・・・以上2点を二大特性として上げる事が出来るでしょう。そして、住宅本体・エクステリア共に、20年ほど前からモダン系デザインのウエイトが次第に高くなり、現在では完全に主流派となりました。

もう少し具体的に述べると、直線・円など単純なライン(ある意味幾何学的)、シンプルで少ない色使い、個性表現のための強烈なワンポイント・・・などを上げることが出来るでしょう。また、モダン系は元々日本人好みであった影響か、洋風化が進む中にあり、<比較的和風ウエイトが高い>と言う傾向も見逃すことが出来ません。

つまり、「洋風モダン」だけではなく「和モダン」と言われる作品も結構多いと言う事。見方によっては、モダン系デザインの普及により、<洋風化一辺倒という住宅・エクステリアの流れに一定の歯止めをかけた(和風の見直し)>とも言えるかもしれません。

そこで本日の一口アドバイス。

「比較的新しいデザインモダン系。ところが、和風見直しの切掛けにも・・・」

(みずき りょう)

17:バロック

 

 

 

 

 

 

バロック建築(オーストリア「メルク修道院」)・・・バロックは中世を代表するデザイン。重厚で非常に装飾性が強い。皇族・貴族・教会など限られた者が主力対象で、莫大なコストがかかった。従って、民衆の暮らしとは直接的かかわりは少なかった。

 

17:アールヌーボー

 

 

 

 

 

 

 

アールヌーボー建築(ベルギー「タッセル邸」・1893年)・・・アールヌーボーは1800年代終盤〜1900年代初頭に登場した芸術・デザイン。その対象は皇族・貴族だけではなく<一般のお金持ち>にまで広がった。商業製品としてはティファニーなどが著名。

 

17:モダン建築

 

 

 

 

 

モダン系建築(建築家ミース・ファン・デルの作品。バルセロナ)・・・モダン系建築は1900年代前半頃から次第に造られるようになった。装飾性が極めて少なく、シャープなライン・シンプルな色使いが特徴。この段階で、デザインの対象が大衆にまで広がったと言えるかもしれない。