みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,090

「納得!エクステリア講座」第22回・・・「アールデコ」の意味とその魅力とは?

引き続き、エクステリア(住まいの屋外空間)のデザインについて。今回は、「モダン系」「南欧風」中東風」「アジアンテイスト」に続き、「アールデコ調」を取り上げます。

<「アールデコ」の本当の意味とその素晴らしさを知ろう!>

「アールデコ」と言う言葉は聞いたことがあるが、本当の意味を知っている人は意外に少ない・・・それが実情かもしれません。「アールデコ」とは、1910〜1930年代頃に流行したデザイン。そして、1925年のパリ万博でピークに達しました。言葉の意味は、アール(美術・芸術)+デコレーション(飾り)で、「装飾美術」と訳されています。でも、欧米のデザインの流れを知らないと、本当の意味を理解することは困難です。

欧米のデザインは、バロック・ロココ〜アールヌーボー〜「アールデコ」〜モダン系と言った変化を遂げてきました。そしてこの変化は<装飾第一主義〜非装飾化>への歴史でもありました。つまり、バロック・ロココ等のスーパー装飾系から、アールヌーボーと言う若干の装飾軽減系。さらに、「アールデコ」で装飾&モダン系の融合と進化したと言う事。

つまり、流行当時では<最も装飾の少ない(あるいは、モダニズムを取り入れた)デザイン>であったと言う次第。ただし、その後のモダン系隆盛で、現代から見ると<適度な装飾が残されたデザイン>と言う事に成るでしょう。

本題のエクステリアデザインに戻ると、バロック・ロココ、アールヌーボーと言った癖(装飾)の強すぎるデザインは、殆ど存在しなくなりました。結果、装飾系≒「アールデコ調」と規定してもほぼ問題ないでしょう。従って、ややノスタルジックで適度な装飾がほどこされている作品グループを「アールデコ調」と呼ぶようになりました。補足するなら、筆者が最も好むデザイン系統でもあります。

ただ、デザインの流れや、「アールデコ」の特性を文章でいくら表現しても、それを頭の中でビジュアル化し、イメージする事は困難でしょう。そこで、代表的建築物と工芸品の写真を掲載しておきます(もっとゴタゴタした作品を想定していた人が多いのでは・・・)。

確かに、近・現代を代表する「モダン系」には洗練された魅力があります。しかし、住宅やエクステリアは人が暮らす空間です。<洗練され過ぎ≒疲れ>そんな危険性もあります。だからこそ、少しだけ時代を遡り、適度な装飾・適度な遊びを求めるのも一考ではないでしょうか。勿論、そんな時に行き着くのが「アールデコ調」だとも言えるでしょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「暮らしの場であるからこそ適度な装飾を。そして、振り返ればアールデコが!」

(みずき りょう)

 

22:建築

 

 

 

 

 

 

 

「アールデコ」を代表する建築物・・・「アールデコ」とはもっと装飾性の強いゴタゴタデザインをイメージする人も多い。しかし、その実態は<装飾主義とモダニズムの調和>であり、現代から見ても多くの共通項と魅力を持っている。

 

22:小物

 

 

 

 

 

 

 

「アールデコ」の特性を色濃く持つ工芸品・・・過剰装飾でも、モダニズム一辺倒でもないシンプルさと柔軟性を有する逸品。それが、「アールデコ」の特性で、現代生活にも十分マッチする。

 

22:外構

 

 

 

 

 

 

 

「アールデコ調」の住宅とエクステリア・・・いわゆる「アメリカン系」のデザイン。ただ、視点を変えれば、少しノスタルジックで適度な装飾性を残した「アールデコ調」の建物&外構とも言える。そこには、モダン系とはことなる安らぎも・・・