みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,095

「納得!エクステリア講座」第28回・・・緊急報告!ブロックはなぜ人命を奪う②?

<土留め・塀用としては欠陥商品?>

「スタンダード・ブロック」とはどのようなものか、ご理解いただけたでしょうか。そして、100年に渡り人の命を奪い続け、今後もその危険がある・・・残念ながらそれは事実です。

理由は2つ。1つ目は、<過去に造られた危険な現場が、無尽蔵にある>と言う事。極端な言い方をすれば、<危険でないブロック塀の方が少ない>と言えるかも知れません。勿論、今回の人命事故で改善されるブロック塀もかなりあるでしょう。それは、犠牲を伴ったとしてもひとつの進歩と言えます。ただし、前述のように危険な塀(現場)は無尽蔵にあります。その全ての改善は困難で、例えば土留めなどに使われている場合は<積み直しが不可能>、と言うものも少なくありません。その場合は、補修・補強と言った処理を施す事に成りますが、それでも十分とは言えません。

2つ目は、<今後も危険なブロック塀が、造り続けられる可能性が極めて高い>と言う事。「これだけの事故を起こしながらそんな馬鹿な」そう思われる方も多いでしょう。でも残念ながら事実です。だから、100年に渡り事故が多発してきたと言う次第。

ではなぜ、新しい現場でも危険なブロック塀が造られる可能性が強いのか。A:極めて順守しにくい施工基準である B:エクステリア業界の知識・技能・モラルが低い C:ユーザーが無理な要望を行う・・・この3点によります。

A:に関して、一般のお客様に説明する事はかなり難しいのですが、例えば<鉄筋の入れ方>の一例ですが、<縦筋は基礎部~最上部分まで継いではならない>と言う規定。特に背の高い塀の場合、これを守ることは至難の業と言わざるを得ません。勿論、守るのが難しい規定は他にも。

B:に関しては、<**資格が無いとブロックを積んではいけない>と言った法律でも無い限り、上記の難しい施工基準を守ることは極めて困難であるため。正直なところ、現在も<何の公的教育も受けていない職人が、ブロックを積み続けている>のが現状で、状況が急好転するとはとても考えられません。

C:に関しては、お客様の要望を大部分施工業者が受け入れ、現場を造り続けている為。例えば、最も危険な<土留め上の継ぎ足し施工>の場合。本来は土留めの内側に塀を造らなければなりません。しかし、活用敷地が狭くなるため、「土留め上に積んで欲しい」と言いった要望は日常茶飯事。この時、毅然と断る業者はそれほど多くありません。

このような現状から判断し、新規現場に関しては<ブロックは欠陥品>と考え、<絶対安全な場所にしか使わない>このような対応以外に無い。筆者はそう考えています。既存現場に関しては、焼け石に水として諦めるのではなく、可能な限り積み替え(ただし、大部分はブロック以外の代替商品を使う)・補修・補強を続ける以外にありません。

そこで本日の一口アドバイス。

「ブロックは欠陥品! この意識が無くては本当の危険回避はあり得ない!」

(みずき りょう)

北摂地震少女死亡現場図h

 

 

 

 

 

 

 

大阪の地震で起きた死亡事故現場説明図面・・・各所で報じられている通り、最も危険な<土留め上の継ぎ足しブロック塀>であった。しかも、公共(学校)のエリアで。

 

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上記現場での<コア抜き・差し筋>施工説明図・・・残念ながら、現在もこのようなブロック塀が造り続けられている。その責任の一端はお客様にもある。

 

ブロック基礎図

 

 

 

 

 

 

ブロック基礎の一例(L形+布基礎タイプ)・・・ブロックにはL型・T型・I型など様々な基礎バリエーションがある。しかし、その正しい知識を持つ職人は残念ながら少ない。