みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,031

「世界のガーデン」 第三章:9ヶ所のペルシャ式庭園⑨

第13回:「アクアバリーエ庭園」!

イランにあり世界遺産に指定されている、9ヶ所のペルシャ式庭園紹介。今回がラストで、取り上げるのは南ホラーサーン州の州都ビールジャンドにある「アクアバリーエ庭園」。ただし、この庭園に関しても一般入手出来る資料は極めて乏しく、今回も「Pars Today」の力をお借りします。

「アクアバリーエ庭園」のある南ホラーサーン州はイランの東部に位置し、人口は約70万人。そのうち州都ビールジャンドに約22万人が住んでおり、同州一番の都市ではありますが、決して大都市とは言えず、首都テヘランからも遠く離れています。確かにホラーサーン州は歴史的にも文化的にも重要な地域で、周辺2州を含めたホラーサーン3州で1,119箇所もの文化指定遺産があり、加えて巡礼地・自然の名勝が多いなど、観光地としても注目のエリアとなっています。ただし、日本から訪れる人は稀であり、この点も素晴らしい庭園でありながら(日本では)あまり知られていない要因となっているのではないでしょうか?

「アクアバリーエ庭園」はザンド朝(1,750〜1,794年)〜ガージャール朝(1,779〜1,925年)にかけて造営されました。従って、ペルシャ式庭園の様式を守りながらも、独自のアレンジも加わっており、多様性と作者の個性・才能を強く感じさせる作品と言われています。

メインとなるのは敷地の中心部にある建物とその周辺。建造物の前には独特の形状をした池があり、そこに映し出された世界と現物が見事なハーモニーを創出し、特有の三次元世界が広がっています。加えて、庭園自体が斜面にある事、斜面の一番高い部分に建物がある事、周囲が壁で囲まれており外部とは異空間となっている事、シャープな直線が多く使われている事・・・などにより、ボリューム感がありながらモダンで重苦しさを感じさせません。

ペルシャ式庭園の場合は水をどのように使うかが重要ポイントとなりますが、同庭園でも池・大きな水路・小さな水路が見事に組み合わされており、目を楽しませてくれる上、あたかもせせらぎの音が聞こえるような雰囲気を創り出しており、特有の理想郷となっています。

「アクアバリーエ庭園」はおよそ4.5万㎡の広さがあり、前出のメイン建造物に加え、東端により古い建物があります。この建物は2階建てで、廊下・2つの中庭・馬小屋などから成り立っており、貴重な歴史建造物となっています。

中央部(メイン)の建物は1フロア面積約600㎡で2階建て+塔から成り立っています。そして、この建物には2つの博物館があります。2階は考古学博物館になっており、これもまた見どころの一つと言えるでしょう。この博物館には、先史時代・古代・イスラム期の3コーナーに分かれており、先史時代コーナーでは4,000年前の文化・産業、古代コーナーでは2,000年前の出土品・道具、そしてイスラム社会の歴史を知ることが出来ます。

1階は人類学博物館で、ホラーサーン州とその近辺の100年間の歩み・文化・産業・風俗等を知ることが出来ます。

南ホラーサーン州

 

 

 

 

 

 

 

イランの地図・・・ホラーサーン州はイランの東部に位置している。

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遠景・・・真ん中奥にあるのがメインの建物

 

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中央の建物アップ

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中央の建物(別角度から)・・・塔も直線が多くモダンな感覚

 

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中央の建物内にある中庭

 

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東側にあるより古い建造物