みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,032

「世界のガーデン」 第四章:イラン以外のペルシャ式庭園①

第14回:世界の至宝「タージ・マハル」

引き続き「ペルシャ式庭園」を紹介。ただし、イラン以外の庭園を取り上げます。ペルシャ及びその後に繁栄したイスラム勢力は、西はヨーロッパ、東はインド〜東南アジアまで活動範囲を伸ばし、様々なペルシャ・イスラム様式の建造物を残したからです。

最初に取り上げるのは、世界の至宝とまで言われるインドの「タージ・マハル」。

「タージ・マハル」を造ったにはトルコ系の「ムガル帝国」(1,526〜1,858年)5代皇帝「シャー・ジャハーン」で、実は彼が寵愛した「ムムターズ・マハル」(1,631年死去)の墓廟です。着工は1,632年で、完成したのは1,653年。実に22年もの歳月を要した事になります。また、このような豪壮な墓廟を造った一因は、謀反討伐に同行しその遠征先で死去した彼女の、<後世に残る墓を造って欲しい>と言う遺言も一因と伝えられています。また、「タージ・マハル」と言う名前の由来は諸説あるとの事ですが、「ムムターズ・マハル」と言う名前が元になっている事は間違いなく、その意味は「宮殿の光」「宮廷の選ばれし者」と言ったもの。

「タージ・マハル」はインド北部のアーグラと言う都市にあり、南北560m×東西303mの敷地を持つ。全体構成は、南端4分の1が前庭、その北に大楼門。同門の南側には正方形(一遍296m)のメイン庭園があり、墓廟へと繋がっています(平面図参照)。なお、メイン庭園は中央に噴水(池)があり、そこから水路が十字に走り、完全に4等分されています。つまり、最も典型的な「ペルシャ式庭園」の構成となっていると言う事。また、全体も完璧なシンメトリーとなっています。

主要構造物についてもう少し詳しく記すと、「大楼門」は赤色の砂岩で造られ、大きなアーチを持ち、両側に八角形の大きな塔を配置。アーチの上には11個の丸屋根があり、ペルシャ・イスラム様式の典型的な構成だとの事。

最も重要な墓廟は白大理石で出来ており、正方形(一遍57m)だが、四隅がカットされており、実際には変則的な八角形となっています。また、高さは丸屋根最上部までが58mで、さらにその上には頂華と呼ばれる装飾物が設置されています。このため、目前から見上げると迫力が倍増するとの事。しかし、遠方から見るとバランスが悪くなり、それを防ぐため墓廟が置かれている基壇の両端に塔が設置され、全体のバランスに配慮した構成となっています。

墓廟の左右には集会所とモスクがありますが、これまたシンメトリーを崩さないように同形となっています。

以上のように、「タージ・マハル」は贅をつくしたと言うだけではなく、完璧な美を持つ建造物とも言えます。だからこそ、多くの人々が知る通り、世界の至宝・世界最高の美的建造物とも・・・

14:外景・ヤナーム川より

 

 

 

 

 

ヤナーム川から見た遠景・・・北側にある墓廟(中央)とその両サイドの集会所・モスクが見える。

 

14:平面図

 

 

 

 

「タージ・マハル」の平面図(左が北)・・・右(南)から前庭・大楼門・主庭・墓廟

 

14:大楼門

 

 

 

 

 

 

大楼門・・・墓廟側(北)からの景観。赤色の砂岩で出来ている。

 

14:庭園・廟より

 

 

 

 

 

 

主庭・・・墓廟(北側)からの景観。中央に噴水(池)・水路で4分割と言う典型的な「ペルシャ式庭園」。

 

14:廟

 

 

 

 

 

 

墓廟・・・世界で最も美しい建造物とも。白大理石で出来ている。

 

14:地図

 

 

 

 

 

 

 

 

「タージ・マハル」の位置・・・インド北西部のアーグラにある。