みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,042

「世界のガーデン」第七章:「平面幾何学式(フランス式)庭園」

 

第24回:ヨーロッパ庭園の流れ

 

庭園のルーツ探求から始まり、「ペルシャ式庭園」・古代ギリシャとローマの庭園事情・「露壇式(イタリア式)庭園」などに対する検証を行ってきました。この結果、明確にこれが庭園だと言えるものは「ペルシャ」に始まり(それ以前のものは伝説であったり、庭園の原点的なもので、BC500年頃の「ペルシャ」都市で発掘された庭園遺跡が現状では世界最古)、いわゆる「ペルシャ式庭園」と呼ばれるスタイルが最も古く確立された庭園様式と考えて良いでしょう。

建物や塀で囲まれている・幾何学的な構成・水を重視し中央に池がありそこから十字形に水路が走る・・・などがその主な形ですが、その後ヨーロッパで発展した庭園は全て「ペルシャ式庭園」の延長線上にあると見て良いでしょう。1,700~1,800年代になり始めてより自然観を重視した「風景式(イギリス式)庭園」と言うものが英国で登場しますが、それまでの庭園は全て「ペルシャ式庭園」のアレンジ形とも言えるかもしれません。

古代ギリシャ・ローマにおいても庭園(あるいは庭園の前段階的なもの)は造られ、火山爆発で姿を消した古代都市ポンペイの遺跡などにも庭園が存在し、この時点で少なくとも上流階級の人々は庭を造り大切にしていたことは間違いありません。ただ、「ペルシャ式庭園」の登場以後<これがヨーロッパで生まれたた庭園だ>と明確に言えるものが登場するなでには、その後約1,000年の時間を要します。つまり、古代ギリシャ・ローマ~ルネサンス時代までの間は、間違いなく多くの庭が存在したが、**様式と明確に言えかつ広く知られた現存物・遺跡は(何か考古学的な新発見がない限り)存在しないという事。従って、500~1,500年の約1,000年間はヨーロッパ庭園の暗黒時代と言えるのでは無いでしょうか?

ルネサンスとは1,300年代にイタリアで生まれ1,600年頃まで続いた文化・芸術活動の事。言葉自体は<再生>と言うフランス語です。従って、古き良き時代への復古が大きな特性ですが、明確な定義付けは研究者により大きく見解が異なり困難です。ただ、ペルシャ・イスラムとの関係性を無視できない文化であった事は間違いありません。なお、私たちが最もよく知る同時代の芸術家としては「レオナルド・ダ・ヴィンチ」(イタリア、1,452~1,519年)、「ラファエロ・サンティ」(イタリア、1,483~1,520年)などを上げる事が出来ます。

庭園に話を戻します。既に前項で提示した通りこのルネサンス時代後半に登場し、ヨーロッパ庭園史の1ページを開いたのが「露壇式(イタリア式)庭園」です。幾何学系・丘陵を活かした景観と構成・過剰とも思える装飾性・・・などがその特色で、「ペルシャ式庭園」をルーツとしイタリアの芸術感覚と地形の特性を加えた庭園という事が出来るでしょう。

ヨーロッパ庭園の舞台はその後フランスへと移り、やがて全域に拡大。同時に、建築・文化・生活様式・芸術等の幅広い分野で無くてはならない存在となります。そして、この段階で確立された庭園様式が「平面幾何学式(フランス式)庭園」です。

 

人体図・ダヴィンチ

 

 

 

 

 

 

 

「レオナル・ド・ダヴィンチ」の「人体図」

 

 

ラファエロ

 

 

 

 

 

 

「ラファエロ・サンティ」の「アテナイの学堂」

 

フィレンツェ

 

 

 

 

 

 

 

「ルネサンス」を代表する町「フィレンツェ」