みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,049

「世界のガーデン」第七章:「平面幾何学式(フランス式)庭園」

 

第31回:「シャンティイ城」とその庭園

 

「ル・ノートル」作品。5番目に紹介するのは「シャンティイ城庭園」。

「シャンティイ城」はフランスのシャンティイ市にある「ルネッサンス時代」を代表する建造物でもあります。現在の「シャンティイ城」は「グラン・シャトー」と「プチ・シャトー」の2つから成り立っており、「グラン・シャトー」は1,870年に再建されたもの。

一方、「プチ・シャトー」は1,560年頃、当時のフランス軍元帥(軍の最高責任者)であった「アンヌ・ド・モンモラシー」(1,492~1,567年)のために建てられたものです。となれば、「ル・ノートル」が作った庭園は再建前の「グラン・シャトー」と「プチ・シャトー」に併設されていたと見て良いでしょう。残念ながら、再建前の「グラン・シャトー」が再建後のそれとほぼ同じであったのか、かなり違っていたのかは(少なくとも専門家でない限り)不明で、創建当時の正確な姿を追う事は困難です。

また、「シャンティイ城」の庭園は、かなり長い時間をかけて造られました。従って、複数の作庭家が製作にタッチしたようですが、最も有名で影響力が大きかったのが「ル・ノートル」です。従って、現存する庭園の主要部も彼の作品と見て良いでしょう。

その根拠でもあり、また彼自身がお気に入りの作品でもあった事を証明する資料として、「ル・ノートル」自身が晩年(1,698年)に「ポートランド伯爵」に宛てた手紙には「フランスのベルサイユ、フォンティーヌ、ヴォー・ル・ヴィコント、チュイルリー、そして特にシャンティイの美しい庭園を思い出して下さい」と言った事が書かれています。

現在の「シャンティイ城」は一般公開され、中でも世界有数と言われる<絵画ギャラリー>が有名。また庭は公園となっており、誰もがその素晴らしさを楽しむ事が出来ます。

「シャンティイ城」の庭園は、幾何学式ではありますが、いわゆるフランス式(平面幾何学式)のスタイルとはかなと異なります。最大の理由は、軸線(ビスタ)の元にあるはずの城の位置がズレているからです。また、水路・池の比率が非常に高く、各コーナーがその中に浮かぶ島のような構成になっている点も異例と言えます。

また、「シャンティイ城」には、1,700年代以降にもイングリッシュガーデン的なものなどが追加されており、現在の公園は複数の時代・複数の様式の庭を楽しむことができます。「ル・ノートル」自身は、自然の景観を重視した庭園には批判的であったようで、現在の姿を見た時どのように感じたかは分かりませんが、少なくとも庭好きにとっては、この上ない空間となっています。

公園

 

 

 

 

 

 

「シャンティイ城公園」・・・「ル・ノートル」作庭の庭園部。素晴らしい空間だがかなり特異な構成となっている。

 

モンモランシー

 

 

 

 

 

 

 

「アンヌ・ド・モンモラシー」画・・・「シャンティイ城」は最初彼のために建造された。

 

シャンティイ城

 

 

 

 

 

「シャンティイ城」の外景

 

 

シャンティイ城内部

 

 

 

 

 

 

 

「シャンティイ城」の内部