みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,060

「世界のガーデン」第七章:「平面幾何学式(フランス式)庭園」

 

第42回:「シュノンソー城」と2つの庭園②

 

引き続き「シュノンソー城」について。前回は同城の歴史について述べましたが。このコーナーでは<庭園と城内の主要部>について検証します。

まず庭園ですが、フランス式ではありますが、「平面幾何学式」以前の庭園様式も色濃く残していると言う事。なぜなら、作庭の主体となったのは、「アンリ2世」の愛人と言われている「ディアーヌ・ド・ポワチエ」と、彼の妻(のちの皇太后)「カトリーヌ・ド・メディシス」で、いずれも「ルイ14」「ル・ノートル」(「ベルサイユ宮殿」の作庭者で、「平面幾何学様式」を確立した人物)以前の人物であったため。従って、「ルネッサンス時代」と古き良きフランスの良さを残している庭園とも言えます。

「シュノンソー城庭園」のもう1つの特性は、2つのメインゾーンを持っているという点。勿論、これも2人の女性が主要な作庭者となったため。

そして、城の右側に広がるのが「ディアーヌ・ド・ポワチエ」が手掛けた庭(通称:ディアーヌの庭)で、16世紀建造で入り口付近にある「管財人の家」から一望できるようになっています。また、「シェール川」の氾濫から守る目的もあり一段高くなっており、それがこの空間の魅力をより大きなものにしています。

一方、左側に広がるのが皇太后となった「カトリーヌ・ド・メディシス」の作庭部(通称:カトリーヌの庭)で、中央に池があり、その周辺を放射状に幾何学的な植栽空間が広がっています。また、周辺は樹林に覆われ異空間的雰囲気も漂うスペースとなっています。余談ですが、「カトリーヌ・ド・メディシス」は<フランスに最初に養蚕をもたらせた人物>と言われており、庭園から元は養蚕用の農場へと繋がっています。

「シュノンソー城」城の内部にも当然の事ながら注目すべき鑑賞物・コーナーが無数にあります。そのごく一部を下記にて列記しておきます。

「ディアーヌ・ド・ポワチエ」の寝室・・・「アンリ2世」の愛人「ディアーヌ・ド・ポワチエ」が使っていた寝室。暖炉には「アンリ2世」自身と妻「カトリーヌ・ド・メディシス」のイニシャルが刻まれており、歴史の複雑さが感じ取れる空間でもあります。

「ギャラリー」・・・「ディアーヌ・ド・ポワチエ」が造ったアーチ橋の上に造られており、建造者は「カトリーヌ・ド・メディシス」。

「フランソワ1世」の寝室・・・豪華なルネッサンス式暖炉で有名。また、キャビネットなどの家具類も螺鈿・象牙彫刻などが施され、同時代の代表作品と言われています。

5人の王妃の寝室・・・歴代王の妻達の<マルグリット、二人の「エリザベート」(別人)、メアリー、ルイーズ(写真参照)>寝室。

勿論、これ以外の見どころも多く、前項でも提示した通り「シュノンソー城」は一般公開されていますので、興味ある人はぜひ・・・

42:ディアーヌの庭

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディアーヌ・ド・ポワチエ」の庭

 

42:カトリーヌの庭

 

 

 

 

 

 

 

 

「カトリーヌ・ド・メディシス」の庭

 
42:ギャラリー

 

 

 

 

 

 

 

「ギャラリー」

 

 

42:フランソワ寝室

 

 

 

 

 

 

 

「フランソア1世」の寝室

 

 

42:ルイーズの寝室

 

 

 

 

 

「ルイーズ」の寝室