みずきりょう の:エクステリア&ガーデンメモ NO3,081

「世界のガーデン」第八章:「風景式(イギリス式)庭園」

第64回:「スタッドリー王立公園」とは?

本家本元とも言えるイギリスの「風景式(イギリス式)庭園」を紹介中。今回は「スタッドリー王立公園」を取り上げます。

「スタッドリー王立公園」はイングランドのノースヨークシャー州にある公園で、シトー会に属する「ファウンテンズ修道院」の施設(現在は不使用)を含み、18世紀に創設されたと言われる「スタッドリー王立ウォーターガーデン」なども含まれる広大なもので、1,986年に世界遺産にも指定されています。

同公園の起源は「ファウンテンズ修道院」にあり、「ベネディクト会」と言うものを結成していた修道士たちにより創設され、1,132年頃まで歴史を遡ることが出来るとの事。その後「ヘンリー8世」(イングランド王 在位1,509~1,547年)が修道院解散令(1,539年発令)出したことにより、2㎢もの土地が「リチャード・グレシャム」(商人)に払い下げられ、その後紆余教説があり「ステファン・プロクター」と言う人物が所有。彼は、1,598~1,604年にかけて大邸宅を同地に建造(ファウンテンゾ・ホール)し、この建物が現在にまで引き継がれ一部が一般公開されています。

さらに、1,693年には「ジョン・エイズラビー」が同地を相続。大富豪であり議員でもあったが、金融破綻し議員からも失職します。結果、故郷「ノースヨークシャー」に帰り、1,718年から大庭園の造営を開始。1,742年に「ジョン・エイズラビー」は没するが、息子の「ウイリアム」が「修道院」と豪邸(ホール)を買い上げ、庭園造営を継続。それが、現在の「風景式(イギリス式)庭園」のベースとなりました。

その後もこの巨大な庭園と豪邸の所有者は変わったものの、建造物自体は引き継がれ、1,966年にウエストライディング州議会が購入。1,983年には「ナショナル・トラスト」、さらに敷地内の「修道院」部分は「イングリッシュ・ヘリテッジ」が管理するようになり、現在に至っています。

公園の特性(見どころ)は以下の通り。

*ウォーターガーデン・・・「ジョージ朝」時代の特性を残した構成で、水を巧みに活かした構成が高い評価を受けている。庭園内に配置された装飾品・湖・水路・神殿調の建物・滝など、見所多数。

*建造物・・・「ネオゴシック様式」の城・「パッラーディオ様式」の宴会場など、建造物も多数ある。

*セント・メアリー協会・・・「後期ヴィクトリア様式」の教会。ヨークシャーエリアの同様式の代表的教会でもある。

*ファウンテンズ修道院(跡)・・・「風景式庭園」と共に、同公園の2大ポイント。詳細に関しては既に提示済み。

以上のように、巨大な庭園と「ファウンテンズ修道院」を2代骨格とした「スタッドリー王立公園」はまさにヨークシャーエリアを代表する観光地であり、歴史遺産。勿論一般公開されており、今も多くの人が訪れます。

「ウォーターガーデン」と廃角形の塔
「ファウンテンズ修道院」跡
「パッラーディオ様式」の宴会場
「セント・メアリー協会」
聖歌隊員の家

「ステファン・プロクター」の大邸宅(ファウンテンゾ・ホール)
「スタッドリー王立公園」の取材地
イングランド王「ヘンリー8世」