「木」語り 連載第15回
第三章:日本の森林事情
10:自然林の分類・分布
<日本の「落葉樹林」>
日本には「落葉樹林」と「照葉樹林」と名付けられた二種の「広葉樹林」及び「広葉樹林帯」があります。このうち「落葉樹林帯」は冷涼地帯を中心に広がっています。勿論、そのほぼ全てが自然林です。
「落葉樹」とは自然環境が厳しいエリアに生息する樹木の特性の一つ。2つのスタイルがあり、一つ目は熱帯・亜熱帯など温暖な気候でも、雨季・乾季があり乾季の乾燥に耐えるために葉を落とすタイプ。二つ目は、冷涼エリアにあり冬の寒さに耐えるため葉を落とすタイプ。そして、後者が「落葉樹」の大半を占めています。ただし、実際には「落葉樹」は「照葉樹林」(後述)にも混在している事が多く、「落葉樹」+「常緑樹」の「落葉・常緑混成林」となっているケースも珍しくありません。
そして日本には、温暖でも雨季・乾季がある、同乾燥の厳しいエリアと言うものは存在しません。従って純粋な「落葉樹林帯」(「常緑樹」が混ざらない)は冷涼エリアに限定され広がっています。具体的には、北海道の西南部・東北地方・長野県の高度の高いエリアなどに比較的規模の大きな「落葉樹林帯」があります。
これらの「落葉樹林」を構成する主要な樹種は「ブナ」「ミズナラ」「カエデ」など。この中でも、東北地方に最も顕著にみられ日本で一番規模の大きな「落葉樹林帯」での主役を演じているのが「ブナ」。従って「ブナ帯」などと言われる事もあります。また、同エリアの「落葉樹林」でも谷間などでは「トチノキ」「サワグルミ」などの比率が高くなることが特徴の一つとして知られています。
「ブナ」中心の「落葉樹林帯」で最も有名なのが「白神山地」。青森県・秋田県にまたがり17,000ha弱の規模を誇っています。勿論樹木構成の圧倒的多数を「ブナ」が占めており、「ブナ」林としては世界最大級。1,997年には世界遺産にも指定されました。
ただ「落葉広葉樹林」には「ブナ」主体とは少し異なる形態のものもあります。
その一つが、「ブナ帯」よりさらに寒いエリア、つまり北海道の南西部などに広がる「落葉樹林帯」で、「シナノキ」「イタヤカエデ」などが主体となった樹林を形成しています。
一方、もう少し暖かいエリアにも「落葉樹林」が形成される事も珍しくありません。「クヌギ」「コナラ」「アベマキ」「ケヤキ」「トチノキ」などかなり多くの樹種から成り立っている「落葉樹林」です。これらを「暖地型落葉樹林」などと呼ぶこともありますが、里山などの半人工林・この後取り上げる「照葉樹林」の形成過程で生まれる、ある意味期間限定の「落葉樹林」などが殆ど。従って冷涼エリアの「落葉樹林」と異なり、独自の樹林帯を形成する事はまずありません。

冬の「落葉樹林」

「ブナ林」の紅葉(白神山地):「落葉広葉樹林」は冷涼地帯に広がる自然林。秋の紅葉が美しい。

暖帯型の「落葉樹林」:里山の半人工林・「照葉樹林」の形成過程で生まれる。このようなケースが大半で、樹林帯を作る事はまずない。

