「木」語り 連載第17回

第三章:日本の森林事情

10:自然林の分類・分布

*カシ(樫)類を主体とした「照葉樹林」

 いわゆる山(傾斜地)に広くみられる「照葉樹林」で、カシ類の比率が高いのが特徴。従って常緑樹主体の樹木構成でもあります。

 ただ同じカシ類が中心の「照葉樹林」でも、低地エリアに分布する同系の「照葉樹林」と、高地エリアに分布する同系の「照葉樹林」とでは、主役がカシ類と言っても樹種に大きな違いがある為、低地性のカシ類を主体とした「照葉樹林」と、高地性のカシ類を主体とした「照葉樹林」に分けるのが一般的。

 具体的には、低地性の場合はイチイガシ・ツクバネガシ、高地性の場合はウラジロガシ・シラカシ・アカガシなどが主体となっています。

イチイガシ

               ウラジロガシ

*シイ類を主体とした「照葉樹林」

 シイの仲間(すべて常緑樹)を中心とした「照葉樹林」はカシ類をベースとした樹林同様、殆どが山間部に広がっています。ただ、排水が良く地面が比較的乾燥したエリアに多く、湿潤地を好むカシ系の樹林と、この点が大きな相違となっています。

 この型の「照葉樹林」を構成する主な樹種は、ツブラジイ・スダジイ・アラカシなどですが、ツブラジイ主体の樹林は内陸の山間部、スダジイ主体の樹林は海岸及びその近辺に広がっています。

           ツブラジイ(金色の花が特徴)

                スダジイ

 最後に、時間経過に伴う「照葉樹林」の変化について。

 前述のごとく現在の「照葉樹林」は、その元となる人工林が放置され、殆どが自然帰りのような形で再生した半自然林。そして、大半が以下のような経過を辿ります。

 空き地や松林~落葉樹の進出~常緑樹の進出~常緑樹主体の「照葉樹林」へと変化。従って、放置された空き地・林はいずれ「照葉樹林」となり、豊かな自然を取り戻していくと言う次第。ただし、この変化の間に竹類が入り込むと、やがて竹林だけが残ると言った課題も出てきています。なお、竹類は温暖な気候を好むものが多く、竹林の増加は温暖化問題と密接に繋がっている事も補足しておきます。

 私たちは増えすぎたスギ・ヒノキの人工林の管理だけではなく、どのようにそれを「照葉樹林」や「落葉樹林」に戻し、どう再生させるかと言う大きな課題に対しても長期展望に立ち取り組んで行く必要があります。

           水辺に広がる「照葉樹林」