りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,888

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・その他の外構デザインとその実情?

外構(フロントガーデン)のデザインについて検証中です。そして、現状で多用されるのは、モダン系、アールデコ調、南欧風、新和風の4タイプ。そして、各々に、オープン、セミクローズ(セミオープン)、クローズの3スタイルがあり、各組み合わせと述べました。つまり12パターンが基本と言うこと。では、その他の外構デザインは存在しないのでしょうか?

勿論そんなことはありません。と言うよりも、外構自体が全てオーダー品であり、実際のデザインは無限で、自分の好きな形を自由に選べば良いのです。ただし、代表的なデザインと、それぞれのプランポイントを知っておくと、失敗を防ぎ、より良いものを創りやすくなるということ。つまり、重要な参考材料にすぎません。

では、12パターン以外の参考材料は。純和風、アジアンテイスト、中東風、カントリー&ナチュラル、フレンチスタイル、イングリッシュガーデン系、など数え上げればきりがないほど多様なものがあります。ただ、極めて数が少ない、部分的な使い方が主体、大部分がプライベートガーデン、などと言った使われ方で、基本タイプ・スタイルから除外した理由がそこにあります。

例えば、純和風の場合は、古い住宅のリフォーム外構、稀な純和風新築住宅の外構等に限定され、ごく少数派と言えます。中東風・アジアンテイストなどの人気は高いのですが、殆どがコーナー演出等の部分使い。カントリー&ナチュラル、フレンチスタイル、イングリッシュガーデン系もプライベートガーデンか部分演出。ざっと、このような状況です。

ただ、少しスペース・ご予算の余裕があれば部分的にこのようなテイストを取り入れることで、満足感が倍増することは言うまでもありません。ガーデンライフに+αを加えてくれるからです。コーナー演出は、坪庭的な観賞主体のもの、ミニステージのような参加型の物、この2つに大別されますが、ぜひこだわってみてください。

既に述べたように、日本の住宅の場合、どうしてもフロントガーデンが主体となる頻度が高くなります。そして、フロントガーデンは絶えず外部との接点を意識しなければならない、半公共的な空間でもあります。ただし、その中にも部分的なプライベートスペースを創りだすことは可能です。そして、このわずかなプライベートスペースが、暮らしに大きなプラスとなることも珍しくありません。少しの余裕があれば、少し遊んで見るのも重要なプランポイントと言えるかもしれません。

外構(フロントガーデン)について述べましたが、次項からは日本の現状に即したプライベートガーデンについて考えて見たいと思います。

そこで本日のひと口アドバイス。

「フロントガーデンの中のプライベート空間。そんなこだわりも忘れずに!」

(りょう)

 

 

 

 

 

純和風外構:今ではごく稀な存在・・・

 

 

 

 

 

 

アジアンテイスト:コーナー演出用として人気

 

 

 

 

 

カントリー&ナチュラル:プライベートガーデン主体

りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,887

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・新和風と言う現代の「和」③!

この項では、新和風外構(フロントガーデン)の中の③:和モダンと言うジャンルについて検証します。

まず最初に、近年の住宅はモダン系のデザインが主流であること、その中でも和のテイストが取り入れられたものが多くなる傾向にあるという点を確認しておきます。そして、和モダン系の外構は、同じ和モダン系の住宅にピッタリであるばかりか、一工夫すれば洋風のモダン系住宅にもコーディナート可能であると言うことも承知しておいてください。

また、和モダン系の外構は、オープン、セミクローズ(セミオープン)、クローズ、いずれのスタイルにも対応できます。以上の結果、和モダン系の外構は増加する傾向にあります。従って、新築、リフォームにかかわらず、和モダンは極めて身近な外構パターンとなっています。

見方を変えれば、珍しいものではなくポピュラーな外構であるということ。しかも、ハイセンスなデザインに纏めやすいパターンでもあります。ただし、洋風のモダン系と同様、それなり、没個性的作品になり、何か物足りない・もう一つ満足感が・・・このような作品も多いことが、ある意味難点であるとも言えます。では、そのような特性の中、1クラス上の和モダン外構を作り上げるには、何が必要でしょうか。

その具体的なポイントは洋風のモダン系外構と多くの共通点を持っています。従って、このシリーズの同コーナーを参照してください。ただし、和モダン系外構に関しては、より大きなヒントが過去の日本住宅、庭園に隠されています。具体的には、室町時代の北山文化、東山文化に類する作品を見るということです。さらには、書院造、同系の庭園、茶室、露地、数寄屋造り、等を参考にしてください。そこに、最高の和モダンがあるからです。

勿論、同じものを住宅に持ち込むことは困難です。だが、植栽のイメージ、門廻りの造り方、アプローチの雰囲気、建物とのコーディネート方法など、学ぶべきものが多数あります。この新和風のコーナーで、室町時代にこだわったのはそのためです。また、住宅に関係する日本建築・庭園の最高峰は室町時代の作品であり、新和風(特に和モダン)は、その作品と多くの共通点を持っていることを絶対に忘れるべきではありません。

ただし、アプローチに関しては、当時と現在とでは求められる機能が大きく異なります。だからこそ、当時の作品をデザインの参考にしながらも、広く、短く、歩きやすく、と言う基本を崩さないように注意してください。特に、露地等の処理方法をそのまま取り入れると、事故につながる場合もあります。この点だけはくれぐれもお忘れなく・・・

そこで本日のひと口アドバイス。

「身近になった和モダン。そして、1クラス上を目指すには室町時代がキーワード!」

(りょう)

 

 

 

 

茶室内部:このイメージを門廻りにも・・・

 

 

 

 

 

 

和モダン外構:サンプル➀

 

 

 

 

 

 

 

和モダン外構:サンプル②

りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,886

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・新和風と言う現代の「和」②!

新和風外構(フロントガーデン)について検証中です。新和風②の特色は軽さにあります。特に植栽、庭石の使い方が純和風とは大きく変わりました。

和風庭園の植栽に関しては、本来極めて自由なものであったと思います。古いスタイルの日本を代表する庭園には、雑木なども多用されているからです。ただ、中国庭園の輸入〜初期の和風化へと進化が見られたのは、平安期の寝殿造以降ですが、このころ瀬戸内海等の風景などが模写されました。その影響で盆栽のような加工をほどこしたマツがよく使われるようになります。

江戸時代の大名庭園になると、その部分がクローズアップされます。そして、明治以後の住宅の庭にも影響が残りました。結果、大きな庭石、造り込んだマツ、マキなどが多用されるようになります。その極端な名残が門被りの松ではないでしょうか。ただし、新和風の外構・ガーデンでは殆どこのような演出を行わなくなりました。庭石に関しても同様です。

新和風がより軽やかな印象を受ける最大の要因がここにあります。そして、マツ、マキ等に変わり植栽の主役となったのが雑木です。しかも、株立等が多用され、新和風は最も繊細な樹木・草花の使い方が特色のガーデンと言えるかもしれません。ただし、見方を変えれば、一時の変調期から庭園デザインが最も進化した室町時代へ回帰した、そんな印象も受けます。

前述したように、これが新和風と言うデザイン定義はありません。しかし、軽さと同時にシンプルと言う表現が相応しいように思います。どちらかと言うと、大名庭園(江戸期)〜明治・大正・昭和前半の日本の庭は、人為的な装飾を好みました。重厚・豪華と言ったものが好まれたようにも思います。しかし、新和風のキーワードは、ライト、モダン、シンプル、直線的、などです。しかし、この点に関しても、書院造〜茶の湯〜露地〜数寄屋への回帰。このように解釈することもできます。

新和風は間違いなく現代に生きる和です。従って、平成の暮らしにマッチした和でなければなりません。ただ、結果としては、戦国末期〜江戸時代〜昭和初期までの日本の庭がむしろ変調期であり、より高度な精神文化のあった、室町時代〜戦国時代初期の発想に戻った、そう感じられてなりません。そして、この時代のデザインの基本はシンプルさです。

次項では③:和モダン、について述べます。「新和風=和モダン」ではありません。ただ、新和風の優れた作品の「大多数は和モダン系」であることは紛れもない事実です。そして、和モダンは近年の住宅事情にマッチしているため普及率が高い。これが一般的な解釈です。しかし、日本文化の経緯を考えると、本質的に和モダンが生まれる要因を持っていた、と言う解釈もできます。つまり、和モダンとは単に近年の流行と言うことではなく、日本のデザインの原点につながるものでもあるわけです。

そこで本日のひと口アドバイス。

「純和風より新和風の方が日本庭園の原点に近い! 果たしてその理由は!」

(りょう)

 

 

 

 

西芳寺:日本庭園の最高峰の一つ

 

 

 

 

 

 

 

露地(妙心寺):新和風に通じるものが・・・

 

 

 

 

 

 

数寄屋造り(好文亭):和モダンの原点が・・・

りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,885

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・新和風と言う現代の「和」➀!

外構(フロントガーデン)のパターン別プランポイントについて検証中です。そして、この項からは新和風について述べます。でも、新和風とはいったい何でしょうか。伝統的和風、あるいは純和風とはどこが異なるのでしょうか。

結論から言えば、ここまでが純和風、ここからが新和風と言った線引きがあるわけではありません。あくまでも感覚的なものです。ただし、住宅用ガーデンの場合は、両者の相違をある程度箇条書き的に指摘することは可能です。新和風の視点から、以下にその主な特色を列記しておきます。

「新和風の特色」・・・➀:オープン、セミクローズ(セミオープン)、クローズスタイルのいずれにも対応できる ②:雑木などを多用し、純和風よりも軽い感覚 ③:新しい住宅の場合は和モダンと呼ばれる系統の作品が主体・・・以上が3大ポイントと言えるでしょう。

なお、和洋折衷のデザインと言う言葉もありますが、筆者はごく稀な純和風(古来からの入母屋造り、等)を除くすべての住宅(洋風住宅を含む)が和洋折衷と考えています。また、狭義での和洋折衷住宅は新築に関しては既に姿を消したと解釈しています。従って、新築の世界では和洋折衷と言うジャンルは既になくなったと言う解釈。ただし、リフォーム外構の場合は和洋折衷と言うデザインは生きており、この場合は違和感のないコーディネートとなるように心がけてください。

新和風に話を戻します。➀:のオープン、セミクローズ、クローズ、どのスタイルにも対応できる。これが新和風の最大の特色かも知れません。戦前〜昭和期前半の敷地に余裕のある和風住宅の場合、大多数に庭が造られました。その庭は、位置的にはフロントガーデン部にも多数造られましたが、殆どが外部から見えない高い塀で囲まれ、実質的にはプライベートガーデンでした。また、日本庭園そのものがサラセン式(建物・塀で囲まれた庭)と言われるプライベートガーデンでした。

しかし、新和風では塀で囲むという固定意識はありません。今では何気なく受け入れていますが、これは画期的なことです。この意識改革により、建物とのコーディネートさえできれば、新しい全ての住宅に和のガーデンを造ることが出来るようになったからです。従って、新和風と言う発想の定着により、和風外構は復活傾向にあります。昭和の終盤〜平成初期に外構の洋風化が最も進み、新築住宅に関しては和の消滅。そんなイメージさえありました。しかし、姿を変え復活の兆しを見せているということ。これは実に素晴らしい現象でもあります。

次項では、②:軽さと言うデザイン特性、③:和モダンとは何か、について考えて見ます。

そこで本日のひと口アドバイス。

「サラセン式と言う壁を破った新和風外構! それが和復活の起爆剤に・・・」

(りょう)

 

 

 

 

 

和洋折衷と言う概念は消滅・・・

 

 

 

 

 

 

新和風:セミオープンガーデン

 

 

 

 

 

純和風と新和風の相違とは・・・

りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,884

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・南欧風外構のプランポイント③!

引き続き、南欧風外構(フロントガーデン)のプランポイントについて。この項では、アプローチ、カースペース等の平面プラン主体に考えていきます。

まず、アプローチですが、自然感覚、柔らかさ、適度な装飾性、遊び心、等がキーワードとなります。具体的には、石貼、レンガ敷、スタンプ(ステンシル)コンクリート、を使うケースが増えます。また、曲線をどのように取り入れるかが大きなポイントとなります。ただし、ここで2つの大きな問題が発生します。

1つ目は、このようなアプローチは基本的に古いタイプの構成となっていること。もう少しわかりやすく言うと、デザイン優先で、細く、長く、歩きにくい、と言った傾向が強いということです。しかし、現在のアプローチは機能+デザインが基本となっており、太く、短く、歩きやすく、しかも優れたデザイン性が求められます。従って、南欧風の外構といえども、機能性が悪くないか十分な考慮をして、プランを作成してください。

2つ目は、門廻り・塀と同様に、南欧風のアプローチは悪趣味に至りやすいということ。無意味・センスの悪い曲線、同カラーコーディナート、などの欠陥を持つ作品が極めて多いからです。部分にこだわりすぎ、全体のバランスを崩さないように、くれぐれも注意してください。極端な場合は、センスが悪く、使い勝手も悪いと言う最悪の作品にもなりかねません。

カースペースの土間に関しては、むしろアプローチのように装飾性の強い材料を使うより、シンプルな土間コンクリート、あるいはそれをアレンジした仕上げ、等をお勧めします。広いスペースであるだけに、装飾性が強くなると、アプローチ以上に落ち着きのないものとなってしまうからです。従って、個性を出したい場合は、目地部へのこだわり、アプローチと同素材の部分使い、などの方法が効果的で、ハイセンスな仕上がりとなります。

南欧風の外構はどうしても門廻り、塀、土間処理などに力が入りすぎます。結果悪趣味に・・・。このような状況を解消する最も効果的な方法が、植栽の有効活用です。緑が軽視されている作品が多いのですが、もっと植栽にこだわるようにしてください。しかも、意外にどのような樹木にもよくマッチします。最近の主流となった、スッキリ系の樹木、少しボリューム感のある樹木、南洋木、低木であればモダン系のイメージが強いドラセナなどもOK。極端に和のイメージが強い樹木以外であれば、ほぼすべてOKです。

ただし、グランドカバーに関しては、一般的なものに、少し派で目の花物、カラーリーフを加えることをお勧めします。全体の淡い色調・明るい陽光と言ったイメージをより引き立ててくれるからです。花物は目立つものであれば何でもOKですが、カラーリーフの場合はセトクレアセアなど強烈な印象の草花を選ぶようにしてください。

そこで本日のひと口アドバイス。

「南欧風でもアプローチの機能性を忘れずに! グランドカバーにもこだわろう!」

(りょう)

 

 

 

 

 

南欧風の土間&植栽

 

 

 

 

 

 

南欧風のアプローチとガレージ土間

 

 

 

 

 

セトクレアセア:強烈な印象のカラーリーフ

« 前のページ次のページ »