「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデン・ひと口メモ」・・・NO1,005
「常緑樹の魅力徹底追及 編」・・・日本が世界に誇れる「スギ」!
日本を代表する「常緑樹」。2番目に紹介するには「スギ」です。誰でも知っている樹木で、何を今さら、と思う人も多いでしょう。しかし、日本が世界に誇れる樹木で、多くの知られざる一面も持っています。
「スギ(杉)」はマツ目、ヒノキ科、スギ亜科、スギ属で1属1種の常緑針葉樹です。ただし、スギ科、スギ属とする説もあり、いずれにしてもかなり特殊な植物であるということ。ただ、私たちのあまりにも身近な存在ゆえに、その特殊性を知る人は意外に少ないのではないでしょうか。
「スギ」の、世界的な関連性を見ると、より興味深い部分を多数持っていることが分かります。なぜなら、スギ亜科(あるいはスギ科)の植物はアメリカのレッドウッド(セコイア)、中国のメタセコイア、同じく中国のコウヨウザン、そして日本の「スギ」の4種であるからです。生きた化石的植物が多く、ロマンで彩られていることが分かります。
5,000万年以上前、セコイア属の植物は北半球の王者でした。しかし、現在生息しているのはレッドウッド(樹高世界1の巨木)1種のみ。つまり、セコイアの直系としてレッドウッド、亜系として日本の「スギ」、中国のメタセコイヤ、コウヨウザンが生き延びたとと言うことです。しかも、他の3種の生息地は極めて狭いエリアです。しかし、「スギ」は日本列島を代表する樹木として、自生地が北の一部を除き、ほぼ全国に達しています。このような経緯を考えると、あくまで私見ですが、「スギ」はセコイア科、スギ亜科、スギ属とすべきではないでしょうか・・・
また、「スギ」は日本で最も多く使われている木材でもあります。古くから植林も盛んで、おそらく日本の山林でスギ林が最大の面積を占めているでしょう。これは、木材として優れた資質を持つ、成長が早い、価格が安い、などの特性によるものです。
しかし、もう1つの日本の代表的木材ヒノキと比較すると、かなり異なった特性を持っていることが分かります。一般的にはヒノキ材=高級、スギ材=大衆材、と言ったイメージがあります。しかし、この解釈は一面の真実ではありますが、多くの誤解も含んでいます。理由は、ヒノキ材は産地等にあまり関係なく、均一性の強い木材であるが、スギ材は産地・樹齢等により材質が大きく変わるからです。
従って、スギ材に関してはブランド(産地)にこだわる人も少なくありません。それ以上に、赤身の芯材とシラタの辺材とでは大きく品質が異なります。特に、樹齢が80年以上にも及ぶ芯材は耐久性に富、ヒノキ材以上の高級品として扱われます。
「スギ」と言えば花粉症の元、などと言ったありがたくないイメージもありますが、間違いなく日本が世界に誇れる樹木であることを、この機会に知っていただければ幸いです。
そこで本日のひと口アドバイス。
「日本のスギ。それは、セコイアの仲間で、世界で唯一大繁栄している樹木!」
(りょう)
「スギ」の巨木。樹齢1,000年以上。
「スギ」の人工林。
「スギ」の雌花。花粉症の元???