「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,143
「世界のガーデン、日本のガーデン 編」・・・フランスの「平面幾何学式庭園」!
この項では、元祖とも言えるフランスで、ヴェルサイユ以外の代表的「平面幾何学式庭園」を3ヵ所紹介しておきます。
1番目は「シュノンソー城」。この城は「ヴェルサイユ」と並ぶフランスの代表的建造物でもあります。アンドル・エ・ロワール県のロワール渓谷にあり、元はジャン・マルクと言う人物の邸宅でした。しかし、1411年に扇動罪に問われ国軍により焼失。その後彼が1430年に再建したのが、現建造物の元なっています。その後フランソワ1世に献上され、歴代の王室がここを居城としました。
勿論、優れた庭園も造られました。特に左右の庭園は著名で、右側が「ディアーヌ・ド・ポワチエの庭」、左側が「カトリーヌ・ド・メディシスの庭」と呼ばれています。共に16世紀に造られたもので、フランス式の元祖的存在といえるでしょう。
シュノンソー城:「ディアーヌの庭」
2番目は「ヴォー・ル・ヴィコント城」。セーヌ・エ・ヴィコント県にあり17世紀の建造されたバロック様式の建造物です。作らせたのはルイ14世の大蔵卿ニコラ・フーケ。ルイ14世はこの城を見て、あまりの素晴らしさに逆に気分を害し、無理やりその建築家、作庭家に無理やり「ヴェルサイユ宮殿」を造営せたといわれています。
当然庭の設計はル・ノートルで、城の前面に広大な「平面幾何学式庭園」が広がっています。この庭が無ければ、「ヴェルサイユ」の庭は別の形になっていたかも・・・
「ヴォー・ル・ヴィコント城」
「ヴォー・ル・ヴィコント城」の庭園
3番目は「マルリー・ル・ロワ城」。この建造物はパリの西約15キロ、「ヴェルサイユ宮殿」の北約10キロの地点にあります。この城の設計者はジュール・アルドゥアン・マンサールで、住んでいたのはマルソー領主だったモンモランシー家の人達。しかし、後にルイ14世が買い上げました。理由は、「ヴェルサイユ宮殿」よりもくつろげるというもの。さすがの大権力者ルイ14世も、内心「ヴェルサイユ」の荘厳さが重荷であったのかも・・・
「マルリー・ル・ロワ城」はその後数奇な経過を辿り現代に至っています。同城は、勿論建築物としての評価も高いのですが、過去に併設されていた庭園も著名で、1724年にその全景が描かれ現存(写真参照)しています。これを観ればわかるとおり、典型的な「平面幾何学式庭園」です。特に、中央部(軸線)の水の使い方は豪快で、翼を広げたようなシンメトリーな構成にも、庭園に何を望んでいたか、当時のフランス上層階級者の志向が良く反映されています。
「マルリー城」の全景(1724年)
そこで本日のひと口アドバイス。
「怪物ルイ14世の影が付きまとう、本家フランスの平面幾何学式庭園!」
(りょう)