「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,936
「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭記詳述:「立石様②」に関する記述!
「作庭記」の6~9の項目は、「立石様」についての記述となります。既に、6の項目(大海の様式)については前項で取り上げましたので、ここでは7項目について述べます。
「作庭記7:立石様②」・・・大河の様、山河の様。
一:大河の様は、竜や蛇が進む道のような形状にする。先ず、石を立てる(石組み等の演出)には、水が曲折するところを基点として、稜とすべき石を設置する。そして、この稜と言う文字には天子の威光と言う意味と、折目・曲目と言う意味がある。従って、最も重要な石であり、大河の様と言う庭作りの中心部とすると言うこと。つまり、稜より目立つ設置物があってはならない。それが書かれた口伝もある。
稜が定まれば、それを元に次々と石を立てていく。そこには、水路を作ることが多いが、水は流れに接した対面を崩すものであるため、山も岸もその姿を保つことは難しい(だからこそ、強度・耐久性等を考慮し作ること)。また、設置した石にぶつかった水は、そこで流れの方向が変わり、その曲がり方、曲がった後の流れの方向を考え立てなければならない。その後も、変化の状況をよく理解し、加えて景色の状況を変えながら石を立てて流れを作っていくこと。遠近の変化、その場所ごとの状況変化にも留意すること。
水は左右の岸が迫って細いところは、早く流れる。少し広くなっているところはゆっくり流れる。この状況をよく考え、流れの広い部分には白洲を置くとよい。またそのような場所には、川(水路)に中石を設置するのが良い。勿論、中石が現れた場合は、その右下に洲を作るということでもある。
一:山河の様式は石を多数設置するが、単に数が多いということではなく、伝い石と言って、いくつかの石を連動させた演出を試みること。また、水中にも石を立て、左右へ水を分けるようにして、その左右の汀には、堀り沈めた石を設置すること。このような両河の様式は、遺水(いみず)にもつかうべきものだ。また、遺水には、運搬用車に1つ積める程度の(かなり大きな)石を設置するのが良い。
注:「遺水」の解釈はかなり難しい。「いみず」と読むのが一般的だが「やりみず」と言う説も。水の流れていない水路、あるいは少ししか水が流れてれていない水路、水の枯れた池、等と解釈すべきであろう。広い意味での枯山水?
注:「作庭記」での「石を立てる」「立石」と言う言葉は、作庭演出、部分的石組、石の設置、と言った広義・狭義の使い分けがある。臨機応変に解釈する必要がある。
今回の第7項目では、前回の大海に続き、大河・山河の景観を、石と水をを有効に使って表現する方法について書かれています。そして、天子・皇族等高貴な人物≒基点となる石(稜)とその他の関係、強度・耐久性への配慮、自然の景観の有効な取り入れ技法、この3ポイントが重視されていることが分かります。
そこで本日の一口アドバイス。
「稜とは景観を作る中心的設置物+高貴な存在。そんな配慮も・・・」
(りょう)
川の景観:「大河の様」の 原型?
大河の様(河口付近の景観。紫式部公園)
毛越寺の遺水