「りょうさんの：ほぼ毎日、エクステリア＆ガーデンメモ」・・・NO2,174

「日本庭園と日本外構　編」・・・作庭書「築山庭造伝・後篇下」⑥！

「築山庭造伝・後篇下」・・・秋里離島著　1828年の作

注意事項：「築山庭造伝・後篇」に関しては、他の作庭書以上に図面・イラストが多用されていると推定されるが、残念ながら中谷ゼミ資料に同添付はない。

11：自分だけの満足を優先した庭の事

ここに提示した図は、全て庭作りのセオリーを守り、流行だけに惑わされることなく、美しくハイレベルなものである。だから、皇族・貴族から一般の人々に至るまで、どのような庭にも適応可能なものである。例えば、提示した図を参考にして考えてみると、その地に古くから存在する神様を祀る事は、デザイン様式などを知らなくても、作庭の優先事項となる。対象が神社仏閣であろうが一般住宅であろうが、メインとなる築山部分に拝石を設置するなど、その表れとも言える。

もし、前述の事に疑問があるなら、仙洞御所（仙洞＝「仙人の住居」と言う意味。そこから、仙洞御所＝隠居した天皇＜上皇・法王等＞の住まいを指すようになった）など、社会生活とは一線を画した住居の庭を見れば分かる。そこは、隠遁生活の場であり、生活を楽しむことが最優先された遊びの場である。作庭者は当然この点を重視し、庭の構成を考えなければならない。ただ、遊び優先の庭だが、基本的法則が守られてこそ、本当に楽しむことが出来る。

12：相性が良く安心して暮らせる庭とは

「10」で提示した5つの図と、ここに提示した図は別だ。何故違うのかを良く勉強しなさい。大きなアレンジを加えた（草）タイプの庭で、ゾーニング自体が異なり、非常に難しいタイプの庭でもある。

1つは、松・竹・梅林をベースとした庭で、流動的な造形がポイントとなっている。その柔らかなラインは言葉では表しにくいほど素晴らしい。古くから伝わる図ではあるが、現代（江戸時代後期）にも通じる斬新さを持っている。この構成についてよく考えてみると「雲上の地で、宮廷に住む女性たちが楽しく暮らしている」そんな状況を想定させる。全が目出度く感じられる。このような庭があれば、良妻を持った幸せな男と同じようなものだ。こんな言い伝えもある。本当の幸せを求めるならば、夫を神のように敬い務める。これが女性本来の姿であると。

このような事が記されているのもまた、我が家に古くからある蔵書の中。そこに描かれていた図がこれである。同図が語る意味を良く理解し、庭作りの参考にしなさい。そうすることで、最新の庭を作ることが出来、多くのファンを獲得できる。だからこそ、改めて図・イラストを添付しておく。

13：柔和性のある庭とは

提示の図を見て思うのだが、女性はいつも柔らか味のあるものを好む。となれば、このタイプの庭は女性好みのスタイルと言える。見るからに柔らかなラインをベースとしており、婦人の体のラインのように曲線が活かされている。そして、このようなタイプは茶庭に多い。柔和な感じに見える。私もこのような庭をかなり多く作ったことがある。

いずれにしても、「10」で提示した5つの図は、庭の本質とは何かを確かめるために役立つ。参考にすれば、あらゆる対応が可能になる。だからこそ、描かれているイメージ、形、設置物について良く勉強する事。これこそまさに、基本的な庭（真）、少しアレンジした庭（行）、大胆にアレンジした庭（草）の本質を伝える図だと言える。

そこで本日の一口アドバイス。

「庭の本質を伝える5つの図。添付されていないのが残念。だが、本当にそんなものが・・・」

（りょう）

妙心寺（京都・花園）＝元は花園上皇の仙洞御所「萩原院」

茶庭（露地）は女性好みの柔らかなラインのものが多い？