「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,232
「日本庭園と日本外構 編」・・・「大仙公園内日本庭園」って何だ②?
この項では「大仙公園内日本庭園」とはどのようなものか、少し詳しく見ていく(案内図参照)事にします。
同庭園は、「中根金作」の作庭で1985(昭和40年)〜1988年にかけて造られ、1989年の堺市制100周年の記念行事に合わせオープン(一般公開)されました。このような作庭目的に合わせ、庭園各所に見どころを設けた築山林泉回遊式の庭で、総面積は26,000㎡に及び、昭和に造られた庭園としてはかなり大規模なものです。
また、江戸時代以前の多くの日本庭園がそうであったように、「大仙公園内日本庭園」は中国の名勝を模した部分も多く、ここから水を引き入れている、高台に造られた「桃源台」の形状・名前等にも中国色を強く感じさせます。原点中国+日本+堺市(地元)の良さを融合させた現代の庭と言う事も出来るでしょう。それでは、案内図1〜10の順番に従い、各所の説明を簡潔にしておきます。
1:「休憩舎(キュウケイシャ)」・・・中世の自由都市・堺を象徴した建物。豪商たちが会合を行った集会所を想定し造られた、庭園内のメイン建造物。
2:「印月橋(インゲツキョウ)」「映波橋(エイハキョウ)」」・・・大海を表した池の河口付近の島と陸地を結ぶ2つの橋。庭園内に雄大な光景を再現している。
3:「春燕橋(シュンエンキョウ)」・・・水路の上流の石津渓(地元の渓谷)と下流の池(海)の間に造られた橋。同橋付近には柳が植えられ、付近を燕が飛び交うためこの名前が付けられた。
4:「石津渓(イシズケイ)」・・・水路(川)上流部分。前述したとおり堺市には石津川が流れ、その上流は渓谷になっており、その景観を模した物。この水路(川)は、「桃源台」を源流としている。
5:「桃源台(トウゲンダイ)」・・・この台地は地元の泉北丘陵を表している。中国で考え出された理想郷「桃源郷」をイメージし、周辺には桃・梅・牡丹などの、春を楽しむための花が多数植えられている。
6:「流杯亭(リュウハテイ)」・・・「桃源台」に設置された展望用の建物。中国の姉妹都市・連雲港市から送られた巨石が敷かれ、そこに曲水を再現した川模様が刻まれている。その模様は西遊記の孫悟空が生まれた花果山に似ているとも・・・
7:「青苔亭(セイタイテイ)」「杜若池(トジャクジ)」・・・2つ目の小さな池「杜若池」が造られ、周辺にカキツバタ・ショウブ等の水辺の植物が植えれている。その中心部に「青苔亭」が設置され、静かな別世界を楽しむことが出来る。
8:「傘亭(カサテイ)」・・・庭園の一番高いところに造られた展望台(休憩所・東屋)的建物。
9:「廬山(ロザン)」・・・その名が示すように、中国・江西省にある伝説的名勝「廬山」の風景をイメージし造られた築山。
10:「甘泉殿(カンセンデン)」・・・休憩舎の1つ。水辺にあり甘い泉が湧くと言う言い伝えを取り入れたもの。ここもまた中国イメージの強いデザインとなっている。
以上だが、優れた日本庭園ではあるが、多くの来園者を想定した、サービス精神旺盛なガーデンでもあります。
そこで本日の一口アドバイス。
「中国・日本・そして地元堺市の景観コラボレーション。見て楽しい大仙公園内日本庭園!」
(みずき りょう)
庭園案内図
日本庭園遠景
休憩舎
印月橋・映波橋
春燕橋
石津渓
桃源台
流杯亭
青苔亭
傘亭
廬山
甘泉亭