りょうさんの:エクステリア&ガーデン・ひと口メモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデン・ひと口メモ」・・・NO933

 

「落葉樹の魅力、徹底追及 編」・・・「ウメ」「春告草」「初名草」「香散見草」!

日本を代表する「落葉樹」を紹介してきました。この項では「ウメ」を取り上げますが、同じように代表的「落葉樹」と言えます。ただ、古代から深く人と関わってきた植物で、「サクラ」と共に特別な視点で、しかも日本人の原風景にも繋がる樹木であることは周知の通りです。

しかも、古代(奈良時代、等)の花見と言えば「ウメ見」を指しました。「サクラ見」が始まったのは、平安時代以降で、庶民にまで広がったのは江戸時代からとも言われています。「ウメ」の方がより古くからの付き合いと言うことで、今でも「サクラ見」は何となく庶民的、「ウメ見」は何となく上品に感じるのは、花の性格だけではなく、歴史にも関係しているのかもしれません。

「ウメ(梅)」は、バラ目、バラ科、サクラ属の落葉高木です。つまり「サクラ」とごく近しい関係にあるということです。ただ、より詳しく分類すると、サクラよりアンズにより近い品種と言うことになります。従って、品種改良が進むと共に、花の大きく派手な「ウメ」が目立つようになりましたが、これらの多くはアンズとの交配種です。しかし、実がアンズのように甘くならないので、この辺が両者を区別する現実的なポイントにもなっています。

「ウメ」の最大の特色は、花が一節に1つしか付かないと言う点です。従って、「サクラ」や「モモ」と「ウメ」の見分けは、絶えず接している日本人の場合い容易にできます。「ウメ」の場合い何となく花の付き方が清楚に感じるからです。理由は上記によるもの。

ただ現在、ひと口に「ウメ」と言っても300種以上に達しています。当然区別は難しくなりますが、大きく3系統に分けられます。野梅系」と言われる実が小さく原種に近いもの、「豊後系」と呼ばれる実が大きくその採取を目的とするもの、そして赤い花が派手な「紅梅系」です。梅林では多くの品種が植えられていますが、どの系統のものか自分なりに分析しながら観賞するのも面白いかもしれません。

古代から近しい関係にある樹木だけに、「ウメ」には様々な名前があります。タイトルに取り上げたのはその一部で、「春告草(はるつげぐさ)」「初名草(はつなぐさ)」「香散見草(かざみぐさ)」と読みますが、いずれも趣があり、「ウメ」にピッタリの名称であることに感心させられます。

また、「ウメ」は梅干を始めとする様々な食用にもなります。その一方で、種子の核に青酸配糖体と言う毒物が含まれていることでも知られ、それが薬としても使われました。昔、青梅を生で食べるなと言ったのはそのためです。ただし、梅干や梅酒の実などの加工食品には、毒物はまったく残っていません。生活の知恵に脱帽です。

 

 

 

 

 

 

「紅白梅図屏風」(尾形光琳)

 

 

 

 

 

 

「ウメ」の実と葉。

 

 

 

 

 

 

「白梅」の花。

 

 

 

 

 

「紅梅」の花。

 

 

そこで本日のひと口アドバイス。

「奈良時代花見はウメ見だった! 日本人の原風景とも言えるウメが春を運ぶ!」

(りょう)