りょうさんの:エクステリア&ガーデン・ひと口メモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデン・ひと口メモ」・・・NO934

 

「落葉樹の魅力、徹底追及 編」・・・「ソメイヨシノ」の魅力と秘密?

花見、それは日本人特有の習慣とも言えます。そして、古代の花見の主力対象が「ウメ」なら、江戸時代以降の主力対象が「サクラ」です。そこで、この項からは「サクラ」について検証してみたいと思います。まずはその王者「ソメイヨシノ」を取り上げます。

「サクラ」は、バラ目、バラ科、サクラ属の落葉高木です。つまり、「モモ」「アンズ」「ウメ」などに近しい関係にある樹木と言うことです。そして「ソメイヨシノ(染井吉野)」「サクラ」の園芸種(人間が交配し作った種類)です。

「ソメイヨシノ」は「エドヒガン系」と「オオアシマザクラ」を、江戸の中期~後期に交配し作出されたと言うのが一般的な説です。ただ、異なった説もあり、100%そうと断定することは出来ません。その後、明治の初期に江戸・染井村(現在の東京都豊島区駒込)の造園職人により、売り出され現在に至っているとのこと・・・

名前の由来は、勿論、「サクラ」の名所吉野、その関係で「ヤマザクラ」の代名詞にもなっている「吉野桜」「染井村」とをセットにしたものです。上野公園の「サクラ」を研究した植物学者・藤野寄命博士が、品種が異なるため吉野の「サクラ」との混同がないように、日本園芸雑誌に「染井吉野」と言う名称を使い発表したのが始まりとも言われています。

「ソメイヨシノ」の最大の特色は、葉が出る前に花が一斉に咲く、花が大きく郡開し美しい、と言う点にあります。花見の王者となったのもそれゆえです。また、人工交配主であるため、種子ができません。このため、実生が不可能であるため「ソメイヨシノ」は全て挿し木で増やされてきました。つまり、一本の親木から営々と引き継がれてきたと言うことで、すべての樹木が姻戚関係にあるということです。

多くの素晴らしさを持ち、日本人に愛されている「ソメイヨシノ」ですが、危うさも持った樹木であることも忘れてはなりません。その最大の要因が、「ソメイヨシノ」は意外に短命であるということです。寿命60年説(実際にはそれを超える木も多数あるが)があるほどで、現在の桜の名所にある老木が一斉に枯れる危険性もあります。このため、絶えず若木を補充しておくことが必要です。

また、病害、気候変動にも弱いと言われています。現に排気ガス等で空気が汚れると、病害菌によりコブを作り弱ると言った現象が全国で起こっています。また、地球温暖化で冬の気温がこれ以上上がると花芽が形成出来ず、咲かなくなるとも言われています。それだけに、地球規模の環境保全を考えながら「ソメイヨシノ」を保護していくことが極めて重要になります。

 

 

 

 

 

見事に咲きそろった「ソメイヨシノ」。

 

 

 

 

 

 

 「ソメイヨシノ」のサクランボ。種子を作らずすぐ落下する。

 

 

 

 

 

「ソメイヨシノ」の花。

 

 

 

 

 

 

「ソメイヨシノ」の花の分解図。

 

そこで本日のひと口アドバイス。

「江戸時代以降の花見の王者サクラ! そして現在のサクラの王者ソメイヨシノ!」

(りょう)