りょうさんの:エクステリア&ガーデン・ひと口メモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデン・ひと口メモ」・・・NO945

 

「落葉樹の魅力、徹底追及 編」・・・「トネリコ」と「シマトネリコ」の関係?

「アオダモ」のコーナーでお約束したように、この項では「トネリコ」「シマトネリコ」を取り上げます。

本来、このシリーズは「落葉樹」を対象としています。しかし「シマトネリコ」は半常緑樹で、ややテーマとははずれます。ただ基本種の「トネリコ」は古くから親しまれている樹木。一方の「シマトネリコ」は最近のベストセラー・シンボルツリーです。にもかかわらず、その違い等について、語られることは殆どありません。だからこそ、両者の特性・相違について述べたいと思います。

「トネリコ」「シマトネリコ」は共に、ゴマクサ目、モクセイ科、トネリコ属の広葉樹です。分類学上では「シマトネリコ」「トネリコ」の亜種または変種で、同属以上に近い関係にあります。では、両者の間には具体的にどのような違いがあるのでしょうか? 主なものを列記しておきます。

原産地:「トネリコ」日本、「シマトネリコ」琉球・台湾・東南アジア・インド。葉:「トネリコ」落葉、「シマトネリコ」半常緑。主な点はこの2つです。つまり、「トネリコ」は日本が原産地の「落葉樹」「シマトネリコ」は沖縄より南の亜熱帯~熱帯産の「半常緑樹」であるということです。「ヤマボウシ」と「常緑ヤマボウシ」の関係に少し似ているかもしれません。

では、樹木としての外見的特色はどうでしょうか? 両者とも、花期は5月~6月で小さく白い、葉は細く光沢がある、実は羽状で風により運ばれる、直立性で枝が細いスッキリ樹形、など極めて良く似ています。ただ、成長した場合は「トネリコ」の方がやや幹が太く、ずんぐりとした感じになるようです。

「トネリコ」の名は、樹皮に付着したイボタロウムシが蝋物質を出し、これを昔は戸に塗り滑りやすくするために使いました。このため「戸に塗る木」ということにより付けられました。一方、「シマトネリコ」は、沖縄方面産の物を「シマ***」と呼ぶ習慣があり、「沖縄方面のトネリコ」と言う意味と解釈して良いでしょう。例えば、辛味が少なく沖縄料理に欠かせない「シマラッキョウ」などが好例といえます。

「トネリコ」は古くからの里山などを訪れると、農道や農家の敷地内などに良く植えられていました(写真参照)。ただ、残念ながら最近の住宅では殆ど見かけなくなりました。一方、「シマトネリコ」は住宅の外構・ガーデンに最も多く使われている樹木となっています。従って、私たちが目にするのは、殆ど「シマトネリコ」です。同時に「トネリコ」として登場する写真にも混乱が目立ち、この点が少し残念です。

そこで本日のひと口アドバイス。

「日本原産の落葉樹、トネリコ! 沖縄方面原産で半常緑樹のスター、シマトネリコ!」

(りょう)

 

 

 

 

 

「トネリコ」。里山などでよく見られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

現代住宅の主役「シマトネリコ」。

 

 

 

 

 

 

「トネリコ」の葉と実。

 

 

 

 

 

 

 

 

「シマトネリコ」の葉と花。