りょうさんの:エクステリア&ガーデン・ひと口メモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデン・ひと口メモ」・・・NO948

 

「落葉樹の魅力、徹底追及 編」・・・誤解だらけの「モクレン」と「コブシ」!

「落葉樹」でシンボルツリーとして使われる樹木を紹介しています。この項で取り上げるのは「モクレン」「コブシ」です。

「モクレン」「コブシ」は共に、モクレン目、モクレン科、モクレン属の落葉広葉樹です。当然類似点が多く、そこから多数の誤解が生まれていることが、残念でなりません。

「モクレン」「コブシ」の見分け方の説明が良く行われますが、実は両者を混同すること自体ありえません。理由は、「モクレン」は花の色が赤紫で、成長しても樹高5m程度の小型の樹木。一方、「コブシ」は花の色が白で、成長すると樹高が20m近く、幹の直径60㎝にもなる高木であるからです。

実は、「モクレン」の近樹種に「ハクモクレン」があります(これとの混同を避けるため、「モクレン」のことを「シモクレン」と呼ぶこともある)。両者を単なる花の色が違う同種と勘違いしているケースが多いのですが、実は別種の樹木です。専門書を除き、「モクレン」の紹介写真を見ても、大部分が両者を差別無く提示しています。残念と言うほかありません。

従って、世に言う「モクレン」「コブシ」の見分け方のポイントとは、「ハクモクレン」との見分け方に訂正すべきです。ただ、「モクレン」には「コブシ」「ハクモクレン」以外にも「サクラモクレン」「コブシモドキ」などの近樹種があり、さらには園芸種、交配種が多数出回っています。楽しみが増えることは歓迎すべきですが、基本種の概念を間違って伝え無いように注意すべきでしょう。

ここで、基本種の「モクレン」「コブシ」の特性を再確認しておきます。樹種選び等の参考にしていただければ幸いです。

「モクレン」は前述のとおり、樹高が5m程度と比較的小型の樹木です。花は赤紫色で「ラン」に似ていることから「木蘭」と呼ばれたとのこと。その後、「ラン」より「ハス」に似ているとの意見が多くなり「モクレン(木蓮)」と呼ばれるようになったと言われています。花期は4月後半で、芳香があります。葉は互生の卵型。長さは10cm弱程度で、「コブシ」より大きめでやや丸い感じです。

「コブシ」は樹上が20m近くになるかなる大型の樹木です。花期は「モクレン」より早く3月ごろ。春を告げる花としても有名です。花の色は白で、花びらがやや細長い。枝を折ると芳香があるのも特徴の1つです。「コブシ」の名は果実の形状によるもので、凸凹の面白い形(写真参照)をしています。

最近は、庭木として使う頻度が少し減っています。しかし、両者とも古くから親しまれている樹木で、花の美しさは格別です。樹形も雑木系とは少し異なり、シンボルツリー等に使えば、むしろ目立つ存在になるでしょう。

そこで本日のひと口アドバイス。

「誤解だらけのモクレンコブシ! 正しく選び、シンボルツリーとしても見直そう!」

(りょう)

 

 

 

 

 

 

 

「モクレン」。花は赤紫、樹高は5m程度の小木。

 

 

 

 

 

 

「モクレン」の花。赤紫色で「コブシ」より大きめ。

 

 

 

 

 

「コブシ」。樹高は20m近くにも達する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「コブシ」の花。白でやや小さめ。

 

 

 

 

 

 

独特の実。「コブシ」の名もこの形から!