りょうさんの:エクステリア&ガーデン・ひと口メモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデン・ひと口メモ」・・・NO951

 

「落葉樹の魅力、徹底追及 編」・・・実は中国が原産の「キリ」!

私たちの身近にある「落葉樹」を紹介していますが、今回は「キリ」を取り上げます。

「キリ」は栽培しているもの以外でも、近くの草むら、荒地、などあらゆるところに野生化したものが生えています。そのエリアは北海道南部より南の地域全てとも・・・ でも、元々は日本に自生していたのではなく、中国から持ち込まれたようです。

「キリ」は、ゴマクサ科、キリ属の落葉高木で、樹高は10mに達します。ただ、この分類には異論もあり、ノウゼンカズラ科とする説、独自のキリ科を設定する説などがります。それほど特殊性の強い植物ともいえます。

「キリ」の特徴でまず上げられるのは成長の早さです。それだけ生命力が強いと言うことで、日本の自生種で無いにもかかわらず、これほどどこでも見られる原因もそこにあります。その他の特徴としては、5月ごろ薄紫色の美しい花を付ける、葉は幅広で大きく柔らかく産毛に覆われている、と言ったこと。

それ以上に大きな「キリ」の特性は、木材としての使う場合にあります。日本で最も軽い木材、均一性があり表面が美しい、割れ・くるいが少ない、燃えにくい・・・などの特筆すべき特徴があるからです。このため高級家具・箱材、琴などの楽器、神楽の面、などに多用されています。女の子が生まれると、「キリ」を5本ほど植えておく。すると、嫁入りの時にはその材で婚礼家具を作ることが出来た。こんな話も伝わっています。

上記の事柄から推定し、時代は定かでは有りませんが、「キリ」は古代に中国から輸入された。そして、木材としての活用が始まり、栽培木として急速に全国に広がった。同時に、旺盛な生命力により野生化も進み、全国いたるところで見られるようになった、と考えて良いでしょう。

従って、「キリ」は現在では日本人にとり、最も近しい存在の「落葉樹」の一つとなっています。生活にも古くから密着しており、各所にその図柄が使われています。

家紋では「五七(ゴシチ)のキリ」が特に有名で、織田信長のあの代表的肖像画にもそれが使われています。その他、勲章の「旭日章」、硬化としては明治時代の10円金貨、現代の500円玉などにも使用されています。全体的には、格調を重んじる使い方が目立ち、身近でありながらそれだけ日本人が珍重してきた樹木であることが分かります。

そこで本日のひと口アドバイス。

「中国からの輸入植物? でも、日本人の暮らしとイメージの中に完全に定着したキリ!」

(りょう)

 

 

 

 

 

 

 

「キリ」の樹形。成長の速さは抜群!

 

 

 

 

 

 

 

 

「キリ」の花。初夏に咲き美しい。

 

 

 

 

 

 

「キリ」の葉。大きく柔らかく、産毛が・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「キリ」の実。花の美しさと比べ意外に地味。