りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,144

 

「世界のガーデン、日本のガーデン 編」・・・本家以外の「平面幾何学式庭園」!

この項では、本家フランス以外の「平面幾何学式庭園」を紹介します。

資料を見ると、「平面幾何学式庭園」は、本家フランス以外でも、ドイツ、オーストリアを中心にほぼヨーロッパ全域で造られたことが分かります。ただ、ロシアなどの場合は、幾何学的構成であり、スケールも大きいのですが、やや全体のまとめ方が異なるように思います。一方、スペイン、ポルトガルなどの暖かいエリアでは、幾何学的構成であっても、広がりが少なく、ローマ的な要素と、フランス的な要素が組み合わされていると見るべきでしょう。

それでは、「ニンフェンベルク宮殿」「シェーンブルン宮殿」「ラ・グランハ宮殿」の3種を取り上げますので、比較対象してみてください。

「ニンフェンブルク宮殿」はドイツのバイエルン州ミュンヘンにあります。この宮殿はバイエルン選定候フェルディナント・マリアと彼の妻ヘンリエッテ・アデールハイト・フォン・サヴォイエンによって造られました。設計はイタリアの建築家アゴス・ティーノ・バレッリで1675年に完成しました。

この宮殿はバロック様式の代表的建造物とも言われ、ファサードの幅が700mにも及びます。そしてこのファサードが「平面幾何学式庭園」となっており、宮殿本体・庭園共にミュンヘンの観光名所でもあり、現在も多くの人が訪れます。また、1760年頃の同宮殿全景を描いた絵画(カナレット作)が残されていますが、ほぼ同じ形態で維持されてきたことがそれにより分かります。

 

 

「ニンフェンブルク宮殿」

 

 

 

 

「ニンフェンブルク宮殿」の絵画(1760年頃)

 

 

「シェーンブルン宮殿」はオーストリアの首都ウィーンにあります。ハプスブルク家の歴代君主が離宮として利用した宮殿で、建物は1,441室、東西180mと言う巨大なもので、宮廷劇場まで備えています。庭園も広大で、東西約1.2㎞、南北約1㎞の規模で、典型的な「平面幾何学式庭園」。1779年から既に一般公開されており、ウィーンの著名な観光地でもあります。また、1913年にフランツ・フェルディナント候が訪日した時、日本庭園に感動しオーストリアの庭師にそれに近いものを造らせ、1998年にはこの縁で日本の庭師が本格的な枯山水庭園を修理復元しました。

 

 

 

 

 

「シェーンブルン宮殿」とファサードの「平面幾何学式庭園」。

 

「ラ・グランハ・デ・サン・イルデフォンソ宮殿」は、スペインのゼゴビア県にあるバロック様式の宮殿です。フェリペ5世が造らせたもので、1720年代に完成。ヴェルサイユ宮殿の影響が強いとも言われています。庭園も有名で、幾何学的な構成ですが、広がりが少ない、高低差が大きいといった特色から、「平面幾何学式」+「ローマ式」と言った印象を受けます。

 

 

 

 

 

ラ・グランハ宮殿の庭園

 

そこで本日のひと口アドバイス。

「ヨーロッパ全域に平面幾何学式庭園。ただし、周辺エリアは独自の進化も・・・」

(りょう)