りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,638

 

「世界のガーデン、日本のガーデン 編」・・・「大名庭園」の本当の価値とは?

日本3大名園「偕楽園」「兼六園」「後楽園」について検証しました。この3園は「大名庭園」の代表的存在でもあります。そこで、この項では「大名庭園」とはどのような特性を持ち、それ以前の庭園とは何が異なり、本当の価値はどこにあるか・・・と言った点について考えて見たいと思います。

まず、日本3大名園と言う言葉ですが、これには異論を唱える人が多くいます。もっと優れた「日本庭園」がいくらでもある、反対者はそう言いたいのです。この意見については筆者も同意見です。でもその反面、3大名園として認めてもよいのでは、とも思っています。矛盾した考え方では有りますが、それには理由があります。

「大名庭園」とは江戸時代に大名が造った、巨大庭園のことです。では、なぜこのような庭園が多数造られたのでしょうか。①:古来から日本人は庭園好きであり、藩主も同様 ②:権力の象徴 ③:城下町とセットで、住民との接点となる・・・と言った理由が考えられます。そして、この中で特に重要なのが、③:の理由です。

水戸の「偕楽園」は、水戸斉昭が造った、元々庶民参加を考えた(「偕楽」とは領民とともに楽しむ言う意味)庭園でした。また、例え「大名庭園」は藩主が造ったものでも、そこで様々な催し物が行われ、その中には領民参加型のものもかなりあったからです。

では「大名庭園」を庭園様式、芸術的価値、と言った面で見た場合はどうでしょうか。まず様式的には全て「池泉回遊式庭園」と言うことになります。しかも、巨大であるため、部分的には「池泉座視式」「枯山水」「露地」など、ほぼ全ても様式が加味されています。そして、全体・個々の部分の芸術性、完成度と言った面では、一流ではあっても、各部門の最高峰に近いものであるか否かとなると、意見が分かれます。むしろ否定する人の方が多いかもしれません。

では、「偕楽園」「兼六園」「後楽園」はなぜ日本3大名園なのでしょうか。それは領民に取り、そして現代も最も身近な「日本庭園」として評価した場合い、そうなったと言うことだと思います。現に、3大名園に限らず「大名庭園」の殆どは、城と公園などがセットになり、今も庶民の憩いの場として活躍しています。この点が、他の名園と少し異なります。

芸術性、美的完成度、などから判断すると異論もあるが、「大名庭園」は間違いなく日本を代表する名園である。その理由をご理解願えたでしょうか? やがて、日本は幕末の世から明治へと、新たな歴史を、しかも激動の時を刻みます。当然、庭園文化も大きく変化します。次項からは、近代の庭園事情にスポットをあてます。

そこで本日のひと口アドバイス。

「芸術・美的完成度を超えた価値を持つ巨大庭園。それが大名庭園の真の姿!」

(りょう)

 

 

 

 

 

 

現在の「小石川後楽園」(東京都文京区)の平面図

 

 

 

 

 

 

「後楽園」(岡山市)の「延養亭)

 

 

 

 

 

 

 

偕(とも)に楽しむ「偕楽園」(茨城県水戸市)