りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,649

 

「世界のガーデン、日本のガーデン 編」・・・「望景」と「借景」と言う発想の違い?

「日本庭園」の主要な構成要素(構成物)について検証中です。この項では、「借景」「灯籠」について考えて見たいと思います。

「借景」とは、周りの風景の美しさを活用し、庭園の魅力をよりアップさせようと言う発想・技法のことです。「日本庭園」では非常に重要視されるもので、「大名庭園」では自然の風景だけではなく、天守閣が良く「借景」に使われました。また、修学院離宮の比叡山、円通寺枯山水庭園の比叡山、天竜寺方丈裏庭園の嵐山・亀山、栗林公園の紫雲山、玄宮園の彦根城天守、足立美術館枯山水庭園の勝山、仙厳園の桜島、等の「借景」は特に有名です。

ただ、地形の関係でか、「借景」と言う発想程には「望景」と言うか、庭園外の風景を楽しむと言う発想は、ごく一部の「日本庭園」にしか見られません。この点が、イタリア等で多数作られた「露段式庭園」などとはかなり異なります。勿論、高い位置からの景観を楽しむ「日本庭園」もありますが、どちらかと言うと「見下ろす」と言うより、「目線の位置で見る」「見上げる」と言う構成の方が多いように思います。

「灯籠(とうろう)」(燈籠、灯篭、燈篭、などとも表記)は、日本古来からの屋外照明で、庭園用に開発された物では有りません。むしろ、仏教寺院、神社、などとの関連性の方が深いでしょう。ただ、庭園にも照明は必要であった、少しアレンジすることで庭園の景観をアップするのに好都合であった、などの理由で、「日本庭園」の極めて重要な構成物の1つとなりました。

「灯籠」の基本構成、基本分類を参考資料として提示しておきます。「基本構成」 ①:宝珠(ほうじゅ)・笠の上にあるタマネギ状のもの ②:笠・屋根に当たる部分 ③:火袋・灯りを入れる部分 ④:中台と竿・支柱となる部分(最も変化の多い部分でもある) ⑤:基礎・全体を支える最下部。「基本的品種」 ①:春日型・神社仏閣に多い基本形 ②:雪見型・背が低く、中台と竿が無いタイプ ③:岬型・雪見型から基礎を取り除いたタイプ ④:織部型・つくばい照明用として開発された物で、様々な変形があり「露地」に使われることが多い。以上です。

ただ、上記はあくまでも基本であり、特に庭園用の「灯籠」は変形度が激しく、どのタイプに入れるべきか分からないような物も多数有ります。これは、実用性よりも景観バランスを重要視したためと考えられます。いずれにしても、「日本庭園」の場合い、他の庭園と比較すると、オブジェ的構成物が乏しいと言えます。「灯籠」はそれをカバーする貴重な造作物として、無くてはならない存在になって行ったと考えて良いでしょう。

そこで本日のひと口アドバイス。

「周囲の景観を活用した借景! 数少ない日本庭園用オブジェ?灯籠!」

(りょう)

 

 

 

 

「借景」:玄宮園と彦根城天守

 

 

 

 

 

 

 

庭園と燈篭:兼六園

 

 

 

 

 

春日灯籠:灯籠の基本形

 

 

 

 

 

 

雪見灯籠:中台・竿が無いタイプ