りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,889

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・日本版プライベートガーデンの歩み?

外構(フロントガーデン)について様々な角度から検証してきました。続いては、プライベートガーデンについて考えて見たいと思います。でも、現在の住生活におけるプライベートガーデンの実情とはどのようなものでしょうか? この点について把握しておかないと、現実離れした記述となり意味がなくなるため、まず確認をしておきます。

ガーデンの先進国でもある欧米の場合は、大都市部の例外を除き、大半がゆったりとしたプライベートスペースを持っています。例えば、イギリスの中産階級の住宅の平均敷地は600㎡前後あるからです。従って、庭のメインはあくまでもプライベートガーデンで、その位置は建物の裏側かサイドにあります。つまり、メインの道路と直接には接していない場合が多いということ。

一方、日本の場合は敷地が狭く、同じようなゾーニングでプライベートガーデンを造ることは困難な場合の方が多くなります。しかも、敷地の狭小化現象は、さらに進み(正確には、昭和終盤〜平成5年頃までが狭小化のピークで、現在はやや緩和傾向にある)、関東・関西の人口密集エリアでは、敷地100㎡以下の住宅がかなりのウエイトを占めています。

もう少し住宅の流れを追うと、1966年の東京オリンピック〜1970年の万国博覧会の頃から、大型の新興団地開発が本格化しました。そして、当時の一戸建ての宅造地は中上クラスの中産階級を意識した開発が主で、200〜250㎡の敷地がメインとなっていました。また、それ以前の地方都市の住宅も200〜300㎡と言った敷地が大勢を占めていました。

そして、これらの住宅の場合は欧米とは別のプライベートガーデンを持っていました。むしろ、建物の裏側ではなく、サイドかメインの道路側にプライベートガーデンを設置するという日本特有のスタイルです。これには2つの理由があります。1つは既に提示したように、元々欧米よりの住宅の敷地が狭かったため。2つ目は、日本庭園は元々サラセン式と言われる、塀や建物で周囲を囲む方式の庭であったということ。そう、敷地条件と歴史上の習慣が合体しこの形状が生まれたという次第です。

従って、スケールは小さくても、昭和中盤までの日本人の多くがプライベートガーデンを持ち、ガーデンライフを極めて重要視していたということです。ただし、そのプライベートガーデンの大半が日本庭園の小型版とも言える観賞中心のガーデンでした。そして、その名残が今の異様ともいえる造園業者を生み、高齢の職人たちが引き継いでいる剪定・葉刈りの市場となって、下降線をたどりながらも引き継がれています。

従って、昭和時代の中盤までは、特異とはいえ、日本はガーデン大国の一つであったことを強調しておきます。なぜなら、ガーデンはその国の文化のバロメーターでもあるからです。

そこで本日のひと口アドバイス。

「元々日本はガーデン大国であった! それが文化を支える大きな要因にも・・・」

(りょう)

 

 

 

 

造成中の千里ニュータウン(約50年前)

 

 

 

 

昭和の日本式プライベートガーデン

 

 

 

 

 

 

かつての日本はガーデン大国であったが・・・