りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,890

 

「現代日本 外構・ガーデン事情 編」・・・ガーデンは文化のバロメーター?

昭和の前半まで日本はガーデン大国であった。この事実、ご理解願えたでしょうか? 同時に、より重要な指摘を行っておきます。それは、ガーデンに対する意識が高い国ほど文化度が高いということ。つまり、ガーデンはその国の文化レベル・成熟度を測るバロメーターであるということ。ひょっとすると個人についても同じことが言えるかもしれません。

実は、ガーデン文化には3つの流れがあります。1つは、ヨーロッパ。2つ目はペルシャ(中東)。3つ目は中国〜日本です。ヨーロッパに関しては、やはりギリシャ・ローマ文明が起源と考えてよいでしょう。ただ、明確な庭園様式が生まれるのは14世紀ごろからで、露段式と呼ばれるもの。イタリアでその地形の影響を受け生まれました。そして、フランスやイギリスで進化し、平面幾何学式、風景式と呼ばれる様式が生まれ、現代へと引き継がれてきました。

ペルシャ(中東)に関しては、言うまでもなくペルシ文明が起源となっています。そしてアケメネス朝(紀元前550年頃)にまでさかのぼることが出来ると言われています。ペルシャ式庭園は、東はインドにまで影響を及ぼし、タージ・マハルと言う最高峰の作品を生み出しました。西に関しては、ヨーロッパへ進出し、同エリアの庭園様式に影響を与えます。しかし、その後中東エリア自体の文化が衰退し、ヨーロッパの流れに吸収され、現在に至っています。

中国の場合は庭園の起源を漢の時代、つまり紀元前後にまで遡ることができます。ただし、中国式庭園と言う様式が確立されるのは、隋・唐の時代からと見てよいでしょう。そして、ほぼ同時進行で日本にもその庭園文化が導入(飛鳥時代)されます。さらに、平安時代に部分的な国風化、室町時代には完全な日本庭園様式が確立され現在に至ります。

そしてこの流れを追って見ると、たとえ権力の象徴であっても建築本体とは異なり、成熟度の高い文明にしか庭園文化は定着していないことが分かります。さらに、その精神・テイストが受け継がれ、現在の住生活の中に定着しているのは、本当に文化度の高い国だけです。具体的には、西ヨーロッパの大半の国、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、などです。

そして、昭和の前半までは日本もその仲間入りをしていました。生活レベルにおいては欧米よりも劣っていましたが、日本人の精神的な文化度は高かった。筆者はそう解釈しています。しかし、その後のガーデン意識はかなり低下したと言わざるを得ません。原因は? 物質的な生活レベルは向上したが、精神的な文化度は衰退傾向にある。そんな考え方も、あながち間違いとは言えない・・・そう思えてなりません。

以上の流れを参考に、次項からは現在進行形で、日本のプライベートガーデンの実情、そして、どうすればより楽しいガーデンライフを暮らしに取り入れることが出来るか、多角的に考証して行きます。

そこで本日のひと口アドバイス。

「文明〜文化へ。そして初めて本当の庭園が出現し成熟社会へ・・・」

(りょう)

 

 

 

 

 

 

 

ペルシャ式庭園の基本構成

 

 

 

 

 

 

風景式庭園:イギリス・スタウアヘッド

 

 

 

 

 

 

日本庭園:大徳寺・大仙院