りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,934

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭記詳述:「石と池」に関する記述!

この項では「作庭記」の、4:「石と池」について検証します。

「作庭記4:石と池」・・・石と池に関する基本。

池や島を作るには、水を引き込んだ状態で見ることは困難だ。だから、水草を仮置きし、釣殿の床面の下にある下桁と水面の間が15~20㎝程度であることを計って、そこに印をつけ、石が池の底に入り水に隠れる度合いを計るようにする。そして、池の中の石は底の部分を支える積み石を置き設置するようにすれば倒れる心配がない。また、水が干上がってしまってもデザイン性が崩れることはない。

島に石を設置する場合も、あらかじめそれを想定し、石を置くためのベースをしっかり作っておかないと、島の岸に設置した石は、水を入れた後で地面がふやけて崩れてしまう。だからこそ、おおよその島の形を決め(土台をしっかりと固め)、次に石を設置し、それから島の細かな部分を作るようにしなければならない。

また、池の遺水の尻(池からの排水部分)は西南方向が良い。青竜の水を白虎(の方角)へ出すという意味がある。池尻の水落の横石は、釣殿の下桁の下端から水面までの差が15~20㎝程度になるように調整して設置し、水が適切に流れ出るようにしなければならない。また、滝の左右、島の先端、山のきわの外に高い石を設置することは稀。特に、家屋に接近した部分の庭に90㎝以上の石を設置してはならない。もしそのようなことを行ったなら、その家の主は家を捨てることになり、その地自体が荒廃してしまうであろう。また、離石は、荒磯の沖や山の先、島の先に設置すべきだと聞いている。そして、離石の根元には、水面から見えない程度に、大きな石を2~3個、3鼎(三本足の料理を盛った宴会用器)に掘り沈め、さらに詰石で固定し設置すること。

補注:中国の風水思想に基づき四神(東:青竜、南:朱雀、西:白虎、北:玄武)に相応した地形を良とした。具体的には、右に高く左に低い左流れ、右に長く伸びる、前に汀や池、後ろに丘陵がある、そのような地形(形状)をベストとしたとのこと。

以上の記述を見ると、強度・耐久性を重視し全体構成を決め、それに適合した基礎をしっかりと作(造)ることを非常に大切にしていることが分かります。見えないところをしっかりと、と言う意味でしょうか。次に、水を大量に使うため、高さのバランスと、排水設備の重要性を示しているということ。現代の外構・ガーデンの宅地GL設定、水勾配・排水設備の重要性にもつながるものでしょう。

また、デザイン性を非常に大切にするが、それは中国の風水思想とセットであったことがよくわかります。風水だけではないかもしれませんが、後の日本庭園も吉兆、哲学等の精神世界と切っても切れぬ関係にありました。平安の時代では、精神世界はより重要な事項であったと考えてよいでしょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「水を使う庭園は、見えないところ(ベース、高さバランス)を大切に!」

(りょう)

 

 

 

 

池と石組み(紫式部公園)

 

 

 

 

 

 

青竜(キトラ古墳壁画再現図)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白虎(高松塚古墳壁画)