りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,937

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭記詳述:「立石様③④」の記述とは!

「作庭記」の「立石様」について検証中。この項では「大海の様式」「大河の様式」「山河の様式」に続き、「沼の様式」「蘆手の様式」「池河の様式」を取り上げます。

「作庭記8:立石様③」・・・沼の様、蘆(芦)手の様。

一:沼の様式は、石を立てることはむしろ稀で、ここかしこの入江の蘆、まこも、菖蒲、かきつばた、等の水辺の植物を植える。また、特に島などは無く、その分水面を広くして、果てしない広がりを演出して見せるようにする。

沼の様式は、溝の水が入り集まった留まり水とする。従って、近くに水の流れを作る出入り口があってはならない。だからこそ、水を思いがけないところから引き込むよう工夫する必要がある。また、広々とした感覚を出すため、水面を高く見せるような工夫も必要になる。

一:蘆(芦の旧字)手の様は、山などを高くしてはならない。ただし、野筋(緩やかな丘陵、アンジレーション)等からの池を連動させ、汀の部分には石を設置、石の周辺には小笹、やますげ、等の風にそよぐようなさわやかな草花を植え、樹木も梅柳(優美で季節を先取りする代表的樹木、と言った意味がある)等のしなやかのものを選んで植えるようにする。

さらに蘆手の様式は、平らな石を品と言う字のように(三角形状の配置)設置、それを取り囲むように、背が低めであまり大きな茂りを作らない前栽を植えるようにするのが良いとされる。だから、石だけを際立たせるようなものではない。池の姿、土地の形状を考慮し、1つの池の中に、複数の様式を取り入れコーディネートを心がけることも大切な要因となる。

池の広い部分や、島の周辺には、海の様式を取り入れ、野筋の上には蘆手の様式を取り入れるなどと言った処理も効果的。ただし、ケース・バイ・ケースであるということも忘れてはならない。知識や考える力がない人が、単純にどのようなケースには何を設置するのが良いかと、固定観念にとらわれることは特によくない。

「作庭記9:立石様④」・・・池河の様。

一:池や河の演出は鋤鋒鍬形が良い。池ならびに汀の白浜は、鋤(農具・すき)先のように尖っているようにし、かつ鍬(農具・くわ)のように刻み込みがあるようにすると言うこと。このような形状を作るには、石を汀から離すこと。そして、池の石=海のイメージであるから、必ず石の根元を浪の下に隠すように設置しなければならない。

以上で「立石様」の記述は終わりです。そして、既に前項でも確認しましたが「立石」とは単なる石の設置方法、石組み限定のテクニックではありません。様式に応じた景観(庭)の作り方、部分的な演出方法、そして文字通りの石の設置方法など、状況に応じて「立石」(あるいは「石を立てる」)と言う表現が使われています。理由は、石による演出は、池とともに、少なくとも平安時代の庭園作りの根幹となるものであったから。そう考えてよいでしょう。

そこで本日の一口アドバイス。

「日本庭園は豪壮さだけではなく、広くて優美な空間演出も重視された!」

(りょう)

 

 

 

 

 

自然の「蘆(芦・葦)原 」=広がり

 

 

 

 

 

 

 

天然の池と石

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水と柳