りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,942

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭記詳述:「遺水事①」に関する記述!

「作庭記」について詳細検証中です。概要、地取、池関連、石の立て方、島の作り方、滝の作り方、に続いては、「遺水関連」のことが記されており、本項からはこの部分を取り上げます。なお、「遺水」関連は、「作庭記」の16~21項、つまり6項にわたり記されています。

「作庭記16:遺水事①」・・・遺水と吉凶の関係。

一:水が流れて行く南の方向をまず確認する事。作庭の教えによると、東から南に向かって、さらに西方向(あるいは南西方向)に水を流すのが順流(最もオーソドックス)とされている。と言う事は、西~東側へ流すのは逆流と言う事になる。さらに、真東~西へ流す方法もよく使う。東側から水を出して、舎屋(建物)の下をくぐらせて、未申(南西)へ流すのは特によい(陰陽五行説を元にした「風水」の影響)。

青竜(東方に住む聖獣)からの水を白虎(西方に住む聖獣)の方向へと導くことになり、邪気を流しだすことになるからである。このようにすると、その家の主は病気や怪我から救われ、安楽で長寿の人生が送れる。

四神(東・青竜、西・白虎、北・玄武、南・朱雀)に適した場所を選び、左側を青竜の地(場所)とすることが大切。だから、遺水(この場合は水路・水の流れと解釈してよい)も殿舎(建物)もしくは寝殿(寝殿造の中心的建物)の東から始まり、南へ向かって、さらに西側へ向かって流すと言う事。(地形等の都合上)北から水路が始まっても、一度東へ回して、それから南西に流すようにしなければならない。

作庭の教えによると、遺水(水路)を凹型に曲げることを「竜の腹」と呼ぶ。居住(人が生活する建物)がその「竜の腹」の部分に来ると(風水上)非常に良いとも言われている。逆に「竜の背」(凸型に曲がる)ところに来るのは良くない。また、北側から流れてきて南に向かう場合は、北側は水の方角で、南側は火の方角。従って、これは陰~陽へと向かうと言う事になり和合(調和)が取れず具合が悪い。だからこそ、北から水路を作る場合は、そのまま南へ流すという用法を取るべきではない。

水が東側に流れると言う事は、天王寺の亀井の水と同じである。聖徳太子伝によると、青竜は常に人を守ってくれる水でもある。だから東へ流す。この説に従うなら、逆流(西から東へ流れる)ではあるが、吉と言う事になる。

以上が、「作庭記」の遺水に関する最初の項目です。読めばわかる通り、他の項目とは異なり、最初に吉兆関係を基本とした、水の流れる方向について書かれています。しかも、次の事項も含め、かなりくどくどと書かれています。つまり、平安時代から陰陽五行説等が重んじられ、方位に関してはかなり神経質になっていたと言う事でしょう。

特に水路は水の通り道で、様々な流れを作り出すことが出来ます。だからこそ、東~西へ流すという基本を重視し、それが困難な場合はどのようにアレンジするべきかが、作庭に極めて重要な事項となっていたと想定できます。

そこで本日の一口アドバイス。

「水は青竜(東)~白虎(西)へ流す野が基本。地形に対応したアレンジ方法もも!」

(りょう)

 

 

 

 

 

 

 

陰陽五行説の方位

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十二支と方位

 

 

 

 

 

 

庭園内の水路(紫式部公園)