りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO1,944

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭記詳述:「遺水事④⑤」の記述!

引き続き「作庭記」の遺水に関する記述について検証します。今回取り上げるのは、19項「遺水事④」と20項「遺水事⑤」。

「作庭記19項:遺水事④」・・・水流調整の石①。

遺水(水路)を作る(「石を立てる」と表現)と言う時は、計算外の水量・水流にしてはならない。特に、透廊(透殿=露出度の高い廊下、と同意)下から出たところ、あるいは山の鼻(出っ張ったところ)、あるいは池に流れ込むところ、あるいは水路が曲がるところ、などは(計画的な水量・水流になるように)注意すべきだ。このため、所々に石を設置し、その石の量や配置により、水量・水流の多少・強弱を調整するとよい。

遺水に石を設置すると言う事は、その先の水の流れが折れる(変化する)と言う事でもある。当然、そこに石があると言う事は、水の流れがたわみ、その流れの筋の所に強く当たると言う事になる。その強く当たる部分にさらに廻石を設置すると良い。こうすることで正しい水流調整が出来る。

さらに水は流れの方向を変えながら進むので、同じように強く当たるところに石を設置し断つ(守る)ようにする。水流の曲がるところに石を多く設置すれば、その場所近くで見ると景色が悪くなるように思うが、遠くから見ると理由があって石を設置していることが分かる。近くからの景観に関しては仕方がない。ただ、遠くから見たときには納得できるように、石の設置方法を工夫する事(注:水流調整の石は、近くから見たときはある程度景観的な違和感がある。しかし、遠くから見たときはそれが当然の設置で、景観的にもよく見えるような配置が可能だ。だから、この点を工夫しなさい。このような意味であろう)。

「作庭記20項:遺水事⑤」・・・水流調整の石②。

遺水の水流調整石には、底石、水切れ石、つめ石、横石、水こしの石、などがある。これらの共通点は基礎部分を深くししっかりと設置しなければならないと言う事。

横石の外側は直線的で、内側にふくらみ、面を長く見せるようにして、左右の脇から水が流れ落ちるようにすると、見た感じが良くなる。

遺水の谷側(凹面)に関しては、2つの山の間から、早い流れが来るようにするのが良い。水の流れの中の石は、右側に設置し、次に左側に設置する。このようにすると、水流が白い筋のようになり非常に良い。

少し水流の幅が広がったところには、背の高い石を中石をとして設置する。さらに、中石の左右には横石をあしらって、中石の左右に水が分かれて流れるようにすべきだ。その横石からは水流の早いところに向かって、水を受けるための石を設置する。こうすれば、また水流が白くなり趣きが増す。

以上が、「作庭記」19、20項の記述内容です。つまり、水流調整の工方的な注意事項と、それを踏まえながらのデザイン構成について記されています。いずれにしても、平安時代の庭園では、かなり綿密な水路計画が行われ、その技術面とデザインをどう調和させるか、様々な工夫が行われていたことが分かります。

勿論、その原点となるのは自然の河川。近年、人工的な護岸から、自然の景観を活かした護岸への移行が試みられるようになっています。水を収めるすべてのヒントは天然の河川にあり・・・と言う事でしょうか?

そこで本日の一口アドバイス。

「石による水流調整のテクニック=自然に学ぶテクニック・・・」

(りょう)

 

 

 

 

自然に学ぶ:糸を引くような流れ

 

 

 

 

 

 

 

自然に学ぶ:緩やかな流れ

 

 

 

 

 

 

 

自然に学ぶ:水流の変化