りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,005

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・東山文化の代表的庭園「大仙院」!

「東山文化」との関連性が深い庭園を紹介中。この項では、「銀閣寺」「竜安寺」に続き「大仙院」を取り上げます。

「大仙院」

「大仙院」は京都市北区の大徳寺(臨済宗大徳寺派大本山)内に在る塔頭(たっちゅう)寺院(注:塔頭・先輩僧を偲んで建てた小院、または寺内に引退した僧が自分で建てた子院。塔頭寺院・先輩僧を偲んで塔頭などを集めた寺院)です。創建者は代76世住職・古岳宗亘(こがくそうこう)、1509年)で、22もの塔頭が配されています。

また、1513年には宗亘自身が院退した後居所として子院を造り、これが現在の方丈(本堂)となっています。同方丈は国宝にも指定されており、東福寺・龍吟庵と共に、現存する最古の方丈建築物(写真参照)とされています。そして本題となるのは、その方丈に併設された、枯山水式の庭で、室町時代後期の代表的名園。特に「大仙院方丈書院庭園」は国の特別名勝にも指定された枯山水です。

「大仙院方丈庭園」は北東に位置する「書院の間」前に造られたものと、南側に造られたものの2ヵ所があります。特に「書院庭園」は創建当初の姿が維持(再整備)されたもので、小規模ではあるが、わが国屈指の名園と言っても過言ではありません。作庭者は古岳宗亘自身と言われており、北側を上流として、蓬莱山から滝を基点に、大河・大海へ流れ出る世界を再現していると伝えられています。その表現を、全て石と白砂だけで行っており、枯山水式庭園の極致の1つでもあります。

上記の構成に従い、上流部は荒々しい石組み、下流部に進むにしたがって、雄大な風景へと変化。その中に、臨済禅が観る世界観、人生観等が凝縮されているのではないでしょうか? そして、このような構成を「竜安寺」と比較すると、非常に対照的であることに気付きます。「竜安寺方丈庭園(石庭)」は枯山水の中により抽象的に世界観を凝縮しています。一方、この「大仙院方丈書院庭園」は同じ枯山水でも、象徴的(ある意味具象的)に世界観を切り取っているからです。

なお、「書院庭園」は、苔むした状態になっていたが、1953年に整備され白砂ベースに修復。1961年には古い絵図を参考に渡廊も復元したとのこと。これにより、創建当初の姿により近づいたとされています。

一方、南側の「方丈庭園」は極めてシンプルで、盛り砂+白砂の平面模様だけの構成。「銀閣寺」の銀沙灘と相通じるものがあります。ただし、室町時代から、果たしてこのような庭園が存在したのか疑問が残ります。

そこで本日の一口アドバイス。

「古岳宗亘が自ら創り出した宇宙。それが、大仙院方丈書院庭園・・・」

(りょう)

 

 

 

 

大仙院方丈(国宝)

 

 

 

 

 

 

 

蓬莱山と滝組

 

 

 

 

 

 

 

 

下流の大河

 

 

 

 

 

方丈南側の庭園