りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,012

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・戦国前期の庭園、その特性?

「戦国時代前期」を代表する庭園3種を紹介しました。では、その他に取り上げるべき庭は存在しないのでしょうか? 答えはNO。地方の名門大名等が、数多くの庭園を造っていたからです。しかし、資料に乏しく、いつ頃作庭され、どのような庭であったか分からないものが多く、現状で同時代に庭園として紹介できるものは極めて少ないと言うのが現状です。

ただ、いずれも各地方においては、重要な歴史的建造物で、徐々に発掘が進み、その姿が明らかになりつつあります。また、発掘後、歴史公園などとして整備され、庭園も復元されるものが少しずつ増えています。従って、将来的には、「朝倉氏」「北畠氏」「朽木氏」の庭園などに加え、紹介できる庭が増える可能性もあります。

従って、現状では発掘だけで再整備が進んでいない、史跡としては再現されているが紹介できる庭園としてまでは復元できていない・・・と言ったものも多数あります。この項では、そのような遺構や復元物を列記しておきます。

その他の「戦国時代前期」作と推定される庭園遺構

①:鉢形城庭園跡(埼玉県、15世紀後半~16世紀前半)

②:史跡武田氏館跡(山梨県、16世紀前半?)

③:高梨館庭園跡(長野県、16世紀初頭?)

④:能登松波城庭園跡(石川県、16世紀初頭?)

⑤:東氏館庭園跡(岐阜県、14世紀後半~15世紀前半)

⑥:上平寺城庭園跡(滋賀県、16世紀初頭?)

⑦:安芸吉川元春館庭園跡(広島県、16世紀後半?)

⑧:大内氏館跡(山口県、15世紀中頃~16世紀中盤)

⑨:勝瑞館庭園跡(徳島県、16席記後半?)

⑩:湯築城庭園跡(愛媛県、16世紀前半)

⑪:大友氏館庭園跡(大分県、16世紀後半?)

以上がその主なものです。では、「戦国時代前期」の庭園にはどのような共通性があるのでしょうか。これは大変難しい課題です。地方に分散しており、それぞれの個性で庭が造られているからです。従って、東山文化と時代がラップしているわけですが、どの程度の影響があるか不明。むしろ、自由な発想のもとに造られた庭が多いと見るべきではないでしょうか。

ただ、やはり戦国大名が造った庭園だけに、豪壮な構成が目立ちます。その一方で、自然の地形を活かし、あまり作庭様式にとらわれることなく、ある意味限られた予算で造られた庭が多いように思います。「朝倉氏」「北畠氏」「朽木氏」の庭等は例外ですが、大半はローコストの自己流と言うことが出来るかもしれません。それが、粗雑と見るか、自由な発想で造られ魅力的と見るか、意見の分かれるところでしょうが・・・

「戦国時代前期」の庭園に続きては、「戦国時代後期(安土・桃山時代)」の庭園に目を転じます。そして、わずかな期間ではありますが、世の中の状況が大きく変わり、庭園もまた大きな変化を遂げたことが分かります。

そこで本日の一口アドバイス。

「戦国前期にも地方に多数の庭園・・・それは、個性的魅力?粗雑?」

(りょう)

 

 

高梨館庭園跡(史跡公園)

 

 

 

 

 

 

東氏館庭園跡(史跡公園)

 

 

 

 

 

 

安芸吉川元春館跡庭園(池跡)

 

 

 

 

 

 

大内氏館跡庭園(池泉式)

 

 

 

 

 

 

大内氏館跡庭園(枯山水)

 

 

 

 

 

 

大友氏館跡(復元遺構、外構:門廻り)