りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,113

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・江戸時代の作庭書「夢窓流治庭」①!

江戸時代の作庭書を紹介中。この項からは「夢窓流治庭(むそうりゅうちてい)」を取り上げます。「夢窓流」とあるので、夢窓疎石の庭園論を纏めた書のように勘違いしますが無関係。むしろ「作庭記」の影響を受けた書物と考えられています。

「夢窓流治庭」は1799年(寛政11年)越一楓により著されたものとされています。ただ、明らかにペンネーム(あるいは「雅号」等)で、少なくとも一般的資料ではその足跡を追うことは不可能です。

「夢窓流治庭」・・・中谷ゼミ&飛田範夫(ひだのりお)作品をベース資料とする

第一章 庭の重要な石に関する記述

1:三尊石について

三尊石は三神(石)とも守護石とも呼ぶ。神家(神道関連者)の場合は三神石と呼ぶ。ただ、神家の場合でも仏教的な名前(三尊石)をそのまま使う場合もあり、その名称を嫌っているわけではない。そして、三尊石は庭の中で最も重要な石であり、従って中央に設置する。(三尊石)は1つの石でも、2つの石でもその意味は同じ(三尊石は3つで1セットだが、そうでない場合もあるという事か? 意味不明)。設置する時は、下の部分を強くし絶対に動かないようにすることを第一に考える。ただし、サブ的な石を周囲にセットする場合もある。しかし、サブ的な石は役石(主要な石)の数には含めないため、いくつあってもまったく問題なし。この考え方は全ての石組に共通する大原則である。

2:台座石について

台座石のことを、神家では玉台石と呼ぶ。神家の庭の場合、他と呼称が変わるのは三尊石(三神石)と台座石(玉台石)の2つだけである。そして、台座石は三尊石の右下に設置する。台座石の数はその時々(時代や状況)によって変化する。

3:不動石について

不動石のことを滝副石とも呼ぶ。そして、この石は滝の上や中央に設置する。

4:童子石について

童子石は不動石の下に設置する。ただし、2つ、5つ、7つのいずれかにする事。

注:滝口石、滝副石、童子石の記述は殆どの作庭書に見られるが、定義・内容が微妙に違っている。つまり、絶対的な決まりはないという事か?

5:日天石と月天石について

日天石と月天石は正面左右に高い山を作り、その山頂付近に設置する。ただし、狭い庭の場合は山や両天石を1ヶ所に纏める場合もある。さらに、白雲石を日天石と月天石の下に設置する。しかし、これらの石は一般的な庭では設置しないほうが良い(神社仏閣、巨大庭園などに限定して設置する石という事であろう)。

6:三光石とは

三光石は山の頂上から少し下がったところに設置する。

7:麒麟石 8:鳳凰石 9:桐林石

7〜9項の3石については秘訣であるため割愛する(おそらく、秘伝的な項目を設け、他者排除の材料としたのであろう。このような点に、江戸時代の山水者の狭量と、進化を阻んだ欠陥を見ることが出来る)。

10:二王石とは

二王石のことを、二神石とも上座石とも言う。庭前部の左右または入り口付近に設置する(おそらく寺の仁王門等に習った石組であろう。従って、二王石ではなく仁王石と記すべきではないか)。二王石も副石の数は決まっていない。

11:影向石とは

影向石は上座石でもある。そして、側には松を植える。設置場所は、山の際や池の対面など。そのほか、主人島や客人島にセットする事もある。影向島を庭に作る場合は島内にも設置する。

12:山頂石とは

山頂石は滝口が右にある場合、左の山の山頂に設置する。

そこで本日の一口アドバイス。

「夢窓疎石とは無関係なのに夢窓流とは・・・そこに打算?」

(りょう)

 三尊石(一番奥の中央)を中心にセットした石組