「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,124
「日本庭園と日本外構 編」・・・江戸時代の作庭書「夢窓流治庭」⑫!
「夢窓流治庭」・・・中谷ゼミ&飛田範夫(ひだのりお)作品をベース資料とする
第十章 庭を作る時の臨機応変(真行草)な対応
1:真の山水(庭)作り
真の山水(庭)作りは別紙に示した図(原書には図が添付されていないとの事)のようにする。従って、それを文章で書くことを省略する。
2:行の山水について
行の山水(行書のような庭=オーソドックスな庭と言う意味であろう)とは、正面の山に三尊石、滝口に不動石、前左右に主人島と客人島、さらにその左右に仁王石、前中央に礼拝石、などが設置されている。蓬莱、方丈、瀛州(エイシュウ)と言う3つの島を初め、その他をカットした庭をオーソドックスな庭と言う(インド・仏教のスメール山を中心とした世界観を、オーソドックスな庭は取り入れた構成を行わない)。ただし、蓬莱、方丈、瀛州を表す役石を部分的に使う事はしばしばある。それは作庭家の考え方次第。現実に、過去の名庭にはそのような例が多い。
3:草の山水について
草の山水(草書のような庭=アレンジされた庭と言ういみであろう)とは、楷書、行書の段階を略した庭の事を言う。よって、ただ3つの石を設置するだけと言ったケースもある。あるいは5つの石を設置するだけ、あるいは7つの石を設置するだけ、あるいは9つの石を設置するだけ、と言ったケースもある。しかし、みんな真行をベースとしたものである。そして、このようにアレンジした庭の事を草の庭と呼ぶ。
第十一章 庭作りで嫌われるためすべきではない事
1:蓬莱島について
蓬莱島には橋を架けるべきではない。
2:正面の通りについて
正面に設置された石の前に植物を植えて、見通しを悪くしてはいけない。
3:植栽と捨石の関係
植栽の中に石を設置すべきではない。ただし、灯籠、手水鉢は木陰に設置しても良い。
4:その他のすべきではない事。
縁の欠けた石は使わない。石の角と角を突き合わせて設置しない。通りには十字路を作らない。池・水路は平坦で高さの差が無いように作ってはいけない。南側を塞いで北側を開けた構成は行わない。灯籠は角と角を突き合わせて設置しない。ただし、灯籠どうしの間に遮るものがある場合は例外。根が浮き出ているような植物は石の前に植えない。ただし、石が並んでおりその間に植えることはOK。滝の近くに橋を架けてはいけない。
外露地に三尊石だけがあって、礼拝石が無いのは良くない。白色の石、紫色の石、まだら模様の石は使わない。石の上部が尖がっているものは使わない。築山の頂が尖っていてはいけない。石の前方・左右に副石を設置してはいけない。ただし、1つの石を例にとると、植物でその頂部を隠す場合は例外。
海石を山に設置してはいけない。ただし、山石を水辺に設置してもOK。また、水辺に山石が無い場合で海石を設置する場合は、その時の状況次第。石の後ろの正面に木を植えてはいけない。ただし、葉が石の上を覆って根が土からはみ出ているような場合はOK。図のような場合がそれに相当する(中谷ゼミ資料には図は添付されていない)。
元々ある大木の他に、堀の側に木を植えたり、石を設置してはいけない。ただし、庭の広い狭いにより、1間、あるいは3尺、あるいは人が通れる程度の空間を設けて植えたり石を置くことはOK。堀の際は一定の空間を設け開けておくのが庭作りのセオリーである。
山の頂に麓からの連続性が無く、石を設置したり木を植えてはいけない。滝口には不動石が無いといけない。ただし、小さな滝(打出し)は例外(滝口の部分は、あえて中谷ゼミの訳とは異なる解釈を行った。中谷ゼミの場合は「打出し」を模様のある石と解釈している)。飛石は十字路となるように設置してはいけない。
「夢窓流治庭」 完
そこで本日の一口アドバイス。
「全体構成にかなりの乱れ。思い付きで書き足していったのでは?」
(りょう)
蓬莱島には橋を架けない!