りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,126

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山山水庭造伝・前篇上」②!

「山水築山庭造伝・前篇上」・・・北村援琴・秋里離島共著 1735年の作

2:山水(庭)作りの基本3項目

庭作りの第一ポイントは、まず地形の把握から始まる。地形から庭の状況を捉え、石の設置方法、植栽の方法、そして全体の景観を決める。例えば、漢土(漢時代の中国)の廬山(ロザン:中国の江西省九江市南部にある名山)をモデルとして、あるいは、西湖(サイコ:中国の浙江省杭州市にある有名な湖)の面影をイメージして庭を作ろうとして、ゾーニング図を作成するとする。その時も、地形や樹木・石の状況を頭の中に描き、庭の広い狭いに合わせなければならない。実際の状況に合わせ、山(築山)や水路(遺水)を作ることが、庭作りの最大のポイントとなる。

また、庭を作ろうとする時は、常日頃から景勝地を訪れ、その景観を写生し、頭の中に叩き込み、自分でイメージを纏めておくことが大切である。このような工夫が優れた庭師になる最大のポイントだ。ただし、イメージした景観をモデルにゾーニングを行う場合、5〜6日をかけてじっくりと纏めることが大切。だからこそ、景勝地を観察する習慣がスキルアップの元となる。これが、庭づくりや地形判断に対すし、古くから伝えられる最重要事項。これが、庭作り第一の極意である。

庭作りの第二ポイントは、石組に対する吉凶、植栽に対する善悪をしっかりと把握して作るという事。吉兆・善悪に関する石・樹木の使い方は、作庭の極秘事項でもある。たとえ、狭い庭であっても、万里の高山のイメージを取り込み、数千丈(巨大な)の瀑布が存在し、はるか彼方まで広がる大海をその中に表すことは可能だ。全て、石や水の使い方次第。これが庭づくり第二の極意だ。

庭作りの第三ポイントは、臨機応変(真行草)に物事を判断する事。臨機応変な庭の広さ地形等の判断は、地割段階に活かすのではない。おおよその石組、植栽、全体状況をイメージして庭を作る段階で重要になると言う事である(ごく大雑把な配置を決め、次にある程度具体的なプラン作りに入った段階で、臨機応変な対応が必要という事であろう)。例えば、平凡な庭の場合でも、各所に石を設置する時は、その状況に合致した作り方、自然な活かし方が極めて重要になる。これが庭作りでは極めて重要になる。どのように、部分的に面白い構成を行っても、周囲の状況にマッチしなければ、庭の本質を失い、施主のレベルまで低く見られてしまう。だからこそ、バランス・各所のつながりをよく考えることが大切である。文字も単独ではなく、熟語や縁を持った繋がりで意味が成り立っているのと同じだ。

要するに、自然の決まりにそむくようなことをしてはならないと言う事。人の伝えによると、今まさに新しいものを創り出そうとする時、心を込めなければ、すぐにそれが失敗に繋がってしまう。だからこそ、庭を作る時はそれぞれの関連性に留意して、1本の木、1つの石と言っても安易に設置してはいけない。この点については、多くの紙数を使い述べても、完全に言いつくせると言うものではない。だから、多くの書物が同じことを伝えている。そして、以上が庭作り第三の極意だ。ただこれ以外に、口外無用の秘伝とされるものがある。それは以上3つの極意とはまた別物である。3つの極意が庭作りの全てと言うわけではない(「築山山水庭造伝」は比較的親切な作庭実用書と言う側面を持つ。しかし、秘伝部分を残すと言うポーズ<これまでの全ての作庭書を見ても「秘伝」などと言える特殊技能などおそらく存在しない>により、自分たちは特別な存在と言うイメージ作りがしたかったのであろう。この点も「嵯峨流古法秘伝書」の悪影響とも言える。厳しい見方をすれば、山水者<実務的作庭者>のレベルの低さの裏返しとも言える)。

そこで本日の一口アドバイス。

「分かりやすい文章・解説。しかし、排他主義的発想が魅力低下に・・・」

(りょう)

212:廬山

 

 

 

 

 

 

廬山

 

212:西湖

 

 

 

 

 

 

西湖