りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,127

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山山水庭造伝・前篇上」③!

「山水築山庭造伝・前篇上」・・・北村援琴・秋里離島共著 1735年の作

3:3つの忌ごとと5つの災いに関する記述

山水(庭)の石組には3つの禁忌と5つの災い事があり、そのようなことを行わないように注意する事。1つ目は、家の棟を切る石の事だ。それは、長い石を手前から奥に向けて直角方向に伏せて設置すると言う事。これを棟を切ると言い嫌う。ただし、山の奥や渓谷に家がある場合は構わない。2つ目は、主人島の前に、凸型に突き出でて角が出るように石を設置する事。3つ目は、客人島の前に面の欠けた石を設置する事。以上3つの禁忌である。

次に、5つの災い事。1つ目は、頭が大きく下が小さい石。2つ目は、二神石(鶴石、亀石)が無い事。3つ目は、礼拝石が無い事。5つ目は、守護石が無い事。いずれも災いをもたらすとされ嫌われる。

補足事項:5つの災いコーナーには、何度読み返しても4項目しか記載されていない。記載漏れなのか・・・

4:2つの祥と3つの吉に関する記述

2つの祥とは。1つ目は、東南方向に庭が広がっている事。2つ目は、滝の後ろに高い山と大木がある事。以上が2祥。3つの吉とは。1つ目は、主人石にセットして安居石を設置する事。2つ目は、前面に健やかに育ち枝ぶりの良い松の木を植える事。3つ目は、前庭に砂利をまく事。以上が3吉である。

5:大切な部分に植えてはならない植物

万年青(オモト)、紫竹はメインスペースには植えない。万年青は名が悪く、紫竹は蛾皇女英(中国伝説の皇帝・尭帝の妻)の涙で染められこの色となったという伝説を持つ竹であり縁起が悪いため。また、芭蕉は主人島に植えてはならない。風に当たると葉が破れやすいからだ。

6:蓬莱島には何故橋を架けてはいけないのか

中央にある島が蓬莱の形をしている場合は、そこへ橋を架けてはいけない。蓬莱島は大海に浮かび、仙人の住む島であるからだ。また、吹上島は細長く流れるようにはしない(島に強風が吹きつけるような島であり、穏やかなイメージにしてはいけないという事か?)。塩浜をイメージする場所には耳石(サブの石と言う意味?)を設置しない。また苔も敷かない。砂利を敷く時は吹上(風が吹く様)の状況を再現するようにする。

7:あるべき所(本所)とそうでないところ(離別)。

植物は適切な場所に植える。深い山に生えるものを水辺に植えたり、水辺に生えるものを野山に植えたりしてはいけない。

8:冬木(冬をイメージさせる木=落葉樹)はメイン空間には植えない

冬木とは寒い季節に葉を落とす木の事だ。そして、このような木はメイン空間には植えない。ただし、梅などは例外である。また、このように間違った場所に植物を植えることも離別と言う。このようなことは忌み嫌われるのでやめる事(この部分は、表現が分かりにくいので大胆に意訳。原文の脱落も考えられる)。

9:平野に関する事

平野とは広々とした空間の事だ。従って、山間にある野原なども平野に含める。そして、このような場所には多くの石組を設置すべきではない。また、まったく石を設置しないのも良くない(この部分の中谷ゼミ訳文は、原文に記載されていない言葉が追加されている。原文以外の資料が存在するのか? いずれにしても、訳文の方が適切と思えるので、それを優先しかつ意訳した)

10:山水(庭)の遠近に関する事。

庭を作る時、遠い山は低く作り、近い山は高く作る。遠くにある水は高い位置にあり、近くにある水は低い位置にあるようにする。このような庭の作り方を心得ておく事。そうすることで、(遠近感が強調され)より素晴らしい水路(遺水)となる。

そこで本日の一口アドバイス。

「原文に部分的疑問(脱落等)部分も残る。ただ、他の作庭書より記述が的確!」

(りょう)

213:冬樹

 

 

 

 

 

 

冬木(落葉樹)

 

213:梅

 

 

 

 

梅(落葉樹の中でも例外)