りょうさんの:エクステリア&ガーデンメモ

 

「りょうさんの:ほぼ毎日、エクステリア&ガーデンメモ」・・・NO2,132

 

「日本庭園と日本外構 編」・・・作庭書「築山山水庭造伝・前篇上」⑧!

「山水築山庭造伝・前篇上」・・・北村援琴・秋里離島共著 1735年の作

37:上座(カミザ)石の秘事について

寺院などの山水(庭)には1つ伝えられる秘密事がある。それは、山の麓に木を植えて、その木の根元に平らな石を設置すると言う事。そして、この石を上座石と呼ぶ。上座石の所以は、天竺(インド)の摩阿陀国(マガダ国=紀元前のインドで小国分裂時代を制して最有力国となる〜インド初の統一王朝・マウリア王朝の元となった国)にあった山・迦那山の麓に歓喜樹があり、その木の根元に石があったことによる。上座石はその石を模したものだ。

歓喜樹の元で行われたお釈迦様の説教により(この部分は筆者の加筆)、多くの人が正覚(サンマー・サンボディー=正しく悟る事)し、諸仏となり全時代全世界(三界)へ救済者となり出かけて行った。だから、上座石の事を正覚石とも呼ぶ。また、三界独尊石とも呼ぶ。

従って、上座石を模して庭に設置する場合は、凡人から正覚となる切っ掛けを作ってくれると言う事につながる。だから、仏の道を目指す人がいる場所にとっては悟りを表す石となる。場合によっては客人島・主人島にも上座石を設置する事がある。勿論、意味は同じだ。だから、上座石を設置する事は極めて重要。適切な場所に必ず設置する事。

38:呂と律の関係について

律(この場合は主・陽と言った意味)と言う観念で使う石は座りの良い物を選ぶ。もし部分的に欠けていたりした場合はサブの石(副石)を設置し補強する。他に弱そうな部分がある場合もサブ石を置く。律の石は威儀具足(強く安定度が高い)である事。

呂(この場合は副・陰と言った意味)と言う観念で使う石は2ヶ所〜3ヶ所に、15〜18㎝(5〜6寸)、あるいは30㎝(1尺)の間隔をあけて、所々に設置する。呂とはそう言うものだ。

人の行動には仁義礼智信が備わっていなければならない。また、仁義礼智信が備わった人を律義者と呼ぶ。五常(仁義礼智信)の何かが欠けている人を呂の人と呼ぶ。だからこそ、完璧な形=律である。不完全な形=呂である。古くからの伝えでは、律は生に繋がり、呂は死に繋がる。律=陽、呂=陰でもある。だから(陰と陽で1セット)呂の石を設置しないのは良くない。呂律が揃って本当の徳がそなわり、正しく万物が生まれ出ることが出来る。だから、呂の石は山陰などあまり目立たない場所に設置する。

39:正しい庭と、仏・菩薩の名前の付け方の関係

大多数の山水(庭)は西方浄土(阿弥陀如来の世界)と九品(クホン=浄土に達する9つの段階)の曼荼羅(この場合は浄土の世界観と解釈して良い)を表している。だから、庭に設置する石には、仏(悟りを開いた人)、菩薩(高いランクの修行僧で、人々の救済に当たる)、明王(インドの神様。特に密教と密接な関係にある)などの名前が付けられている。また、山、島、平地、砂浜の名前については全て九品に通じている。だから、庭があれば全て、仏、菩薩と深い関係があることを心得ておくべきだ。毎日、塵(チリ)や埃(ホコリ)をぬぐい綺麗にしておく事。

40:仏と菩薩の名前に関する事(前半)

(仏教には)阿難(アーナンダ。釈迦の十大弟子)、加(迦)葉(カッサバ。釈迦の十大弟子)、加(迦)旃延(カッチャーナ)、驕梵、波堤、富楼那(正しくは、富楼那弥多羅尼子=プンナ・マンターニプッタ。釈迦の十大弟子)、須(おそらく、須菩提=スプーティの事。釈迦の十大弟子)、羅喉羅(ラーフラ。釈迦の十大弟子)、その他大阿羅漢(アラハット=高いランクの修行僧)、不休息菩薩(法華経の冒頭に登場する菩薩。仏典への登場はこの1回のみ)などが登場する。

補足事項①:「驕梵、波堤」は別の人物ではなく驕梵波堤=ガヴァン・パテイと言う一人の人物。お釈迦様最後の弟子と伝えられる。別名=牛王)。

補足事項②:釈迦の正しい十大弟子=舎利佛(シャーリープトラ)、魔訶目犍連(マハーモッガラーナ)、須菩提(スプーティ)、富楼那弥多羅尼子(プンナ・マンターニプッタ)、魔訶迦旃延(マハーカッチャーナ)、阿那律(アヌルッダ)、優波離(ウパーリ)、羅喉羅(ラーフラ)、阿難(アーナンダ)

補足事項③:40項に関しては、仏教の登場人物に対する選別が極めて稚拙。

40:仏と菩薩の名前に関する事(後半)

この他、仏教の世界では、満月菩薩(法華経の冒頭に登場)、宝月菩薩(満月菩薩同様に法華経の冒頭部分に登場)、四大天王(インドの神様。仏教では4守護神。持国天=東、増長天=南、広目天=西、多聞天=北)、跋難陀(ウパナンダ)竜王(八大竜王の一人。難陀竜王の弟でマガダ国の飢饉を救った、お釈迦様の入滅後長らく仏法を守護し続けた、と言った伝承の持ち主)、阿修羅王(アスラ=インドの神様。仏教の守護神)、難陀竜王(跋難陀竜王参照)、釈提植因(釈菩桓因の誤り。朝鮮語で帝釈天の事)、日天(スーリヤ=インドの太陽神。仏教では観音菩薩の化身とされている)、月天(ガッテン、サンスクリト語でチャンドラ。インドの神様。仏教では十二天に含まれる守護神)、などが登場する。これらは皆釈迦の周りに集まり、その教えを守護するものである。

そこで本日の一口アドバイス。

「庭と仏教との関連性を重視。しかし、記述の無理も感じられ違和感も・・・」

(りょう)